エッセイコーナー
167. 96歳の短歌  2016年1月28日

昨年末より、親類や近隣の訃報が相次ぎ、火葬場や葬儀場内は目を瞑ってでも歩けるぐらい、何度も往復している。
そんな状況なので、なかなか自分の時間が取れずじまいだった。
今週の日曜日、夕方の4時から地元で会議が入っていたものの、午前中はなんとか時間が取れたので、大雪に見舞われながらも一路水沢へと向かった。
というのも、昨年末、友人の菊田君より、奥州市水沢区の市民活動センターを会場に県南歌人クラブ主催の新春短歌大会(選者:鷹觜真智子さん)があるから、是非投稿してみないかとの誘いがあった。

同じ奥州市の「斎藤實夫婦を偲ぶ等短歌大会」には過去に2度ほど投稿しており、知る顔ぶれも多かろうと直ぐに詠草を送った。ましてや「県南歌人クラブ」との名称から、岩手県南部の一関地区からも参加者はいるものと思っていたが、いざ出席してみると皆、地元奥州市の人たちばかりであった。
菊田君は仕事で欠席。結局私一人が、部外者として敵陣に乗り込むといった孤立無援の心中で大会に臨んだのだった。

結果は推して知るべしだが、今大会の最優秀賞に輝いたのは96歳の方だった。
過去を生き現在(いま)を生かされ悔いもなし九十六歳生命はつづく  高橋市次郎(水沢在住96歳)さん。
まさしく、人生の酸いも甘いも極められ、天命を十ニ分に知り尽くされた尊老にのみ許された実に深い短歌である。
背筋はピンと伸び、歩く姿は元気そのもの。60代だと云われても納得する。声の張りや滑舌も実にしっかりしていて、びっくりする程矍鑠としておられた。結句のとおり、もっともっと生命は続き、ますます意気軒昂であられ、八面六臂の活躍を大いに期待したいものだ。


 



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