エッセイコーナー
281.AIとベーシックインカム  2018年1月5日

新春の「書き初め」ならぬ「綴り初め」を、AI(人工知能)とベーシックインカムを取り上げ、考えてみたい。
AI進化のスピードは著しい。目まぐるしい速さで進歩している。
近い将来、我々人間はAI搭載のロボットに仕事を任せ、趣味やスポーツ、娯楽に興じながら自由な生活を謳歌できるようになるかもしれない。
農繁期で多忙なゴールデンウィークには、鼻歌をうたいながら露天風呂でのんびりできるようになるかもしれない。
それは兎も角、重労働や激務から解放されることが何よりだが、それらを可能に出来ると期待されるのがAI搭載のロボットだ。

これまでボトルネックとされていたセンサーとクラウドサーバー間の遠隔通信の速度について、その解消に期待される第5世代移動通信システム(5G)が、東京五輪の2020年に実用化される見通しのようだ。
どれほど凄いかと云うと、今迄(4G)の100倍の速さが可能になるとのこと。それにより、更にAIの用途、活躍できる舞台は広がり、どんどん拡大していくだろう。
医療の分野は勿論、我々の日常生活に於いてもあらゆる場面で活用され、活躍することになる。

また、我々が収入を得る為の労働力としても大いに期待される。
然し乍ら、その反面我々人間の仕事が奪われ、職を失うのではないかと懸念されているのも事実だ。
ただ、歴史は繰り返されるのである。
過去を振り返ってみればお分かりのとおり、新たな産業が生み出され、新たな職業が生まれる。進化は社会に溶け込み、吸収され同化していくのが、世の常であり、現実であると云えるのではないだろうか。
我々人間とAIとの共存は、寧ろ、その壮大で希有な進化と、どう向き合っていくべきか、或いはどのように利用していくべきかを我々人間が、叡智を集め、知恵を絞りながら模索していくことを今、問われているのではないだろうか。

ただ、資本主義の名のもとに、AIが我々人間の労働力をカバーすることによって、財力に富む資本家や富裕層、大企業が一方的に人件費を削減すべく利用するばかりであっては、益々、貧富の差を助長するばかりとなる。

昨年10月の衆院選では、一瞬だが、注目を集める発言があった。
緑の党の選挙公約に、ベーシックインカムの導入が盛り込まれていた。新たな、社会保障の形態を作すものだが、この特徴は公平性にあり、一律に、しかも無条件による生活費の支給制度である。
現に、世界では既にその実験が行われている。
インドやイラン。ナミビアでは2008年から2年間行われ、ブラジルでは2004年の法律で導入が決定され、現在も続いているようだ。また、アメリカのアラスカ州では、1982年から北極海の油田収入から全州民に対し、一律10万円の直接給付を実現している。
それらの直接給付について、当初は怠惰が懸念されていたようだが、アメリカやカナダの貧困世帯を対象に実験した結果、必ずしも怠惰にはなっていないと云う結果がでている。

それらのベーシックインカムについては、1960年代のキング牧師や、新自由主義経済学者のフリーマンまでをも含む、経済学者の殆どが支持していると云われている。
導入について反対するのは、資本家や地主などの支配階級や、アメリカなど先進国の支配国家やそれらの国の官僚らが反対するのではないかと懸念されるが、ヨーロッパを中心とする先進国をはじめ、テスラやX.com社のCEOイーロン・マスク氏や、今話題のインスタグラムを抱えるFacebook創設者のマーク・ザッカーバーグ氏など時代の寵児をはじめ、シリコンバレーの著名人も続々と支持を表明しているとのことだ。

ただ、ベーシックインカムの導入には、財源の確保が必要不可欠である。
現時点での財源は、例えば、希望の党に以前所属したある議員が、先の衆院選で唱えた医療費以外の社会保障をベーシックインカムにまわすやり方等々では、やはり無理が生じるのではないだろうか。
また、「単なるバラマキだ」と指摘されても仕方がないのではないだろうか。
ではどうしたら、実現可能な財源確保を現実のものにできるのだろうか?

それが、現在著しい進歩を遂げ、期待の高まるAIの活用なのである。
AIの稼働により、財貨を生みだし、その生みだした収益を財源とするのである。
残る問題は、AIによって生み出された財源を、ベーシックインカムにどう組み込み、どのように反映させるかが問題であり、検討していく必要がある。
前述したように、財力に富む資本家や企業の一方的な利益追求の道具としての活用、或いは一部の人間のみへの享受ではなく、社会全体に対する利益還元の実現を目指してほしい。
また、少子化対策と直接結びつきそうにないが、その問題解決の緒にもなるのかもしれない。

検討の余地は大いにあると思う。導入については、あとは政治的な意思と決断だけではないだろうか・・・。


フォト短歌「おせち」  

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