エッセイコーナー
576.過則勿憚改  2021年3月5日

本日、北京で第13期全国人民代表大会(全人代)が開幕した。政界から香港民主派の一掃を狙う為、選挙制度の見直しを審議するものとみられている。

以下は以前掲載したもの
私は子供の頃から孔子や老子、荘子などの哲学者であり思想家がいた中国に憧れていた。
また、李白や杜甫と云った名代の詩人もいた。なかでも特に、儒家の始祖と云われる孔子の論語は、1300年も経った今でも人生訓として脈々と受け継がれ、息衝いている。
「過ちては改むるに憚ること勿れ」「義を見てせざるは勇無きなり」「知らざるを知らずと為す是知るなり」などなど、人生訓とすべき珠玉の金言、名言が溢れている。

また、陳寿の歴史書、『三国志』のなかに出てくる関羽(美髯公関羽)には、心底から憧れたものだ。
蜀の武将として燕人張飛や諸葛孔明らとともに劉備玄徳を支えた乱世の英傑のひとりである。武芸のみならず、知性、人徳、義理を重んじ、利他愛を備えた精神性の高さ、文力両極を連想させる関羽のような偉丈夫、大丈夫になりたいものだと、私は真剣に思ったものだ。
中国にはそのような立派な人物、大陸的気風の、寛容な人格者が沢山いるものだと思っていた。

ところが昨今、利他愛や、他者への気遣いどころか、強引な手法で領土を広げ、覇権争いに終始しているように思える。カシミールやアルナチャラブラデシュ、西沙諸島や南沙諸島、我が国固有の領土である尖閣諸島もまたしかり。更には、台湾や香港に対しての強引で執拗な姿勢は如何なものか。
特に香港に於いては、1997年7月に英国から返還され、中国本土とは異なる制度を有する一国二制度が、2047年迄認めることが約束されていた。独自の行政や立法、司法権を有し、言論や集会の自由などを持つ特別行政区として認められていた筈だ。その一国二制度を否定するかのような香港国安法が前回の全人代で可決された。
この法律は、香港に於いて反体制派の活動を禁じることを目的とし、言論や集会、報道などの自由が認められなくなったのである。まさに一国二制度の崩壊を意味する。

香港は嘗て、英国の植民地として民主主義の思想が浸透しており、それぞれの価値観を持ちながら発展してきた。
その民主化の道を命懸けで守ろうとする香港の人達を、力でねじ伏せ、押さえつけようとしている。
人は誰でも過ちを犯す。孔子の教えである「過ちては改むるに憚ること勿れ」そのことに一刻も早く気付き、勇気を持って改めるべきではないだろうか。
香港島の北西部、香港セントラル地区に26階建てのビルが存在感を誇っている。香港政府が入っているビルだ。
そのビルはハの字型の建物で、前方から見ると羽を広げているように見える。「国民に開放し、門戸と開く」と云った意味だと聞く。
是非とも、その初心に帰り、民の為の政治、政府に戻るべきではないだろうか。


フォト短歌「福をもたらす」  



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