エッセイコーナー
181.戊辰幻影  2016年4月8日

作家の及川和男先生(元・一関市立図書館名誉館長)より、私の拙著、3作(冊)目のフォト短歌エッセイ集「泡沫」謹呈へのお礼にと、幸甚なるお手紙と近著が自宅に届いた。
頂戴した近著「戊辰幻影 みゆき女口伝」の見返し部分には、先生直筆のサインがあった。
及川先生のご先祖は武士。一関藩士である。曽祖父及川盛氏は戊辰戦争にて最期を遂げた。若年28才であった。
その盛氏の長男虎太郎(先生の祖父)氏の妻みゆき(先生の祖母)さんの語録を核に、正雄(先生の父)氏が書き留めた回想録を元に、一関の歴史的背景と哀歓を描いた私小説である。
登場する人物は全て実名で、内容も史実に基づいたノンフィクションである。

戊辰戦争は、王政復古を経て、明治政府樹立を実現した薩摩藩・長州藩らを中核とした新政府軍と、旧幕府勢力および奥羽越列藩同盟が戦った内戦で、1868年(慶応4年)1月3日、鳥羽伏見の戦いから翌1869年(明治2年)5月18日迄の約1年半、鬼の副長と称され軍才を揮った新選組副長「土方歳三」の戦死もあり、函館五稜郭の敗戦により終結を迎えた。
ここ一関地方では、戊辰戦争を当時秋田戦争と呼び、奥羽越列藩同盟所属の一関藩も軍門に降った。
その戦闘により、出征藩士277名のうち83名の悲報を聞いた。
本文によると、「まさに死屍累々の悲惨さだった」と形容されるように、凄惨で惨澹たる状況だったであろう。ましてや先生の曽祖父及川盛氏は享年28だった。

今も世界のどっかこっかで戦争や内紛があるが、過去・現在・未来の時間軸全てにおいて、人の手による災禍はあまりにも酷く、悲しい。
そういう意味に於いて、同じ間違いを二度と起こさぬよう、歴史を再確認し、特に身近な歴史を学び、触れることによって過ちを回避できるものと確信している。国の方向を決める政治家、特に現政権の閣僚たちには、その歴史的認識、見識を徹底的に深めて頂きたい。

 



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