エッセイコーナー
442.橘曙覧の『独楽吟』  2019年12月24日

清貧の歌人として知られる橘曙覧(たちばなあけみ)の詠草52首『独楽吟』のなかで、共感を持てる18首を取り上げ、写真とBGMを添えてみた。
今回取り上げてはいないが、「たのしみは朝おきいでゝ昨日まで無りし花の咲ける見る時」と云う一首がある。

1994年(平成6年)6月13日、天皇・皇后両陛下が訪米した折、クリントン元大統領が歓迎スピーチの中で引用した一首である。
朝起きて、庭を散策した折、「あれっ、この花綺麗だな」昨日までは咲いてなかった花を見て、橘曙覧の微笑む様子が見て取れる一首である。
日常のふとした瞬間の喜び、感動を詠んだものだ。

物欲に溺れることなく、質素、倹約の精神を持ち、書や詠歌などの文芸に精進したひたむきな人間像に、クリントン元大統領は感銘したのであろう。今のとは雲泥の差があるようだ。
橘曙覧は、短歌の真髄は「感動」と「誠」にあると述べている。
私もこの「感動」と「誠」を肝に銘じ、拙作ながら諷詠に努めていきたいと思う。


フォト短歌「名残惜し」  



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