エッセイコーナー
103.「対岸の火事」にあらず  2014年10月17日

決して対岸の火事ではないエボラウイルスが、アメリカの医療関係者に感染していた事が波紋を呼んでいる。
事を荒立てるのも考えものだが、世界保健機関(WHO)の発表では、今月14日現在の感染者数8914人、死者は4447人と、過去数カ月の推移ではほぼ4週間に感染者と死亡者が2倍ずつ増えている現実や、WHOの予測による感染者数140万人という数字が提示され、また、致死率70%以上という驚異的な死亡確率の高さや、目に見えぬものへの恐怖心が更なる不安を招く要因となっている。
そもそもエボラウイルスとはいったいどんな物なのだろうか。


1976年6月、スーダン(現:南スーダン)のヌザラ (Nzara) という町で、倉庫番の男性が急に39度の高熱と頭や腹部の痛みを感じて入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡した。その後、その男性の近くにいた2人も同様に発症して、それを発端に血液や医療器具を通して感染が広がった。最終的にヌザラでの被害は、感染者数284人、死亡者数151人と言うものだった。
過去にアフリカ大陸で10回、突発的に発生・流行し、感染した時の致死率は50 - 90%と非常に高い。
体細胞の構成要素であるタンパク質を分解することで、ほぼ最悪と言える毒性を発揮する。自然宿主の特定には至ってはいないが、コウモリが有力とされている。

また、現地ではサルの燻製を食する習慣があるため、これを原因とする噂がある事も報道に見える。ガボンのフランスビル国際医学研究センターなどのチームの調査によれば、 オオコウモリ科のウマヅラコウモリ、フランケオナシケンショウコウモリ、コクビワフルーツコウモリ等が、エボラウイルスの自然宿主とされ、現地の食用コウモリからの感染が研究論文で発表されている。患者の血液、分泌物、排泄物や唾液などの飛沫が感染源となる。
また、死亡した患者からも感染する。 エボラウイルスの感染力は強いものの基本的に空気感染はしない。
感染者の体液や血液に触れなければ感染することはないと考えられている。これまでに見られた感染拡大も、死亡した患者の会葬の際や医療器具の不足(注射器や手袋など)により、患者の血液や体液に触れたことによりもたらされたものが多く、空気感染は基本的にない。といわれている。 <Wikipedia参照>

また、マラリア原虫を媒介するハマダラ蚊が、吸血したての人の新鮮血を媒介しているという学説が浮上していることから、デング熱同様、蚊に対する警戒は決して怠ってはならないといえる。
治療方法や予防法としては未だ確率されていないようだが、1995年にコンゴで感染が起きた際には、回復した元患者の血液を8人の患者に輸血することによって、うち7人が回復したとの報告がある。
ダスティン・ホフマン主演のアウトブレイク(映画)を思い出すが、パンデミックだけは絶対に避けたいものだ。

飛沫感染はないとしても、2009年新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)拡散の水際対策では失敗した日本だが、万全の対策で臨んでもらいたいものだ。
何れにしても、我々個人レベルでの注意項目としては、海外渡航はなるべく控えるべきだと思うが、もし万が一感染者が現れたとしても、絶対に差別的扱いは避け、「明日は我が身である」という現実を認識すべきだろう。
そういった意味でも、アメリカやスペインで二次感染した女性医療スタッフのように、医療関係者の尊い犠牲の上で、患者の回復や問題解決の糸口が見えてくるのが現実性であり実情というものだと思う。
東日本大震災をはじめ多くの災害現場で目の当たりにしている事だが、医療関係者の活躍、功績、偉業は計り知れないものがある。本当に頭がさがる思いでいっぱいだ。

                             国立感染症研究所 ウイルス第一部/感染症疫学センター

 


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