エッセイコーナー
126.もうちょっと頑張ってみろよ!  2015年4月7日

此処岩手県南にも漸く遅い春がやってきた。
テレビでは桜満開のニュースが毎日のように報道され、今では散り始めの様子まで確認できるが、ここ岩手では桜の開花は未だちょっと先だ。これからが本番だと言いたいところだが、毎日飽きる程桜の映像を目にすると、あまり感動が湧いてこないのではないかと、ちょっと悲観している。
しかしながらいざ満開に咲き誇る桜を目の前にすれば、感動も一入に違いない。

桜の開花が近づき、田圃の土もじわじわと起き出し、いよいよ今年の稲作作業が始まろうとしている。
我が家の稲作の手順は、まず苗を育てるビニールハウスの整地から始まる。そのハウスも、昨年2月9日の大雪で崩壊したため、新しく作り直したハウスに苗床を作るのだが、注意力が散漫になりつつある(いや、なった)米寿を4年後に控えた父親が、トラクターで土をかき混ぜる際にハウスの骨組みに引っ掛けたらしい。1本のパイプが今にも折れんばかりにひん曲がっていた。

「なんだオヤジ、やってくれたな!」と小言の一つや二つ言いたかったが、時既に遅しである。言ったところで元に戻る訳じゃない。
「過ぎてしまえば皆美しいのだ」と、高校時代の応援団仲間が口癖のように話していたことを思い出した。
ましてや私にばかり押し付けるのは不憫だと思い、トラクターを運転したのだろう。文句は言うまい……。
ただ、新設して未だ一度も使っていないというのは、返す返すも残念である。

それは兎も角として、ハウス内の整地を済ませ、いつでも苗を並べられる状態にしておいてから、今月の18日・19日前後に種まきをやる予定だ。
種まき後は、育苗機の高温多湿の状態で芽が出るまで管理し、そしてハウスに移動するといった一連の作業で田植え用の苗を育てる。
ハウス内に約一月程、青々となるまで、水掛け作業や温度調整を図りながら注意深く育てなければならない。その係は父親だが、何分にも注意力が散漫になってきているのでちょっと心配だ。

その後田植えを行う訳だが、予定では5月16日・17日を目処にしている。その間に、田植えができる状態にする為に田起こし(耕起)をやり、水を引いて荒掻きをやる。そして代掻きを済ませた後3・4日程時間を置き、田圃が静まるのを見計ってから漸く田植えが出来るのである。
慣行農法では多少の違いはあるかもしれないが、概ねこんな感じで田植えまでの作業を行う。
最近ではその慣行農法を避け、あまり手間を掛けずにやる農法が増えてきているようだが、確かに、これ程米価が下落すれば、真剣に検討せざるを得ないのかもしれない。

我が家では、というより、正確には私が、飯米分(自給分)の3反歩(一部ネット販売)程度(それ以外は委託して機械乾燥で一般流通米として出荷)だが、手間暇のかかる天日干しによる自然乾燥米を未だにこだわっている。
毎年この時期になると、今年こそは、「天日干しをやめようか」と迷うのである。
いっその事やめてしまった方が、精神的にも肉体的にも楽になるのだが、如何せんなかなかやめる決断がつかないというのが、毎年のことだ。

一旦止めてしまえば二度とやることはないだろう。
「やめんのは簡単だ、いづでもやめられるべ、もうちょこっと頑張ってみだらどうだ!!」ともう一人の自分が、そう励ましてくるのである。





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