エッセイコーナー
709.母の退院 「寸草春暉」  2022年7月10日

幸いにも、母が無事に退院する運びとなった。
先月22日の入院から約2週間ぶりの帰宅である。
卒寿ともなれば、不測の事態を覚悟せざるを得ない現状だが、安堵の胸をなでおろした。

今回の母の入院により、気づきや学びも多かった。
炊事や洗濯は今迄殆ど母がこなしていたものだが、全て自分でやらなければならない。勿論、今迄もある程度はこなしていたが、ただ料理だけは学生時代以来である。
元々野菜好きなこともあり、玉ねぎやキャベツ、ネギや人参、そして大好物のモヤシなどのごった煮料理。挙句の果てには白米にたっぷりと盛り付け、所謂猫まんま状態で頬張ったが、これがまた結構美味しいのである。

また、以前のブログ等でも書いたように、学生時代行きつけの喫茶店マスター直伝のカレーなど、久方ぶりの味に舌鼓を打ち、朝昼晩の4日間、飽きることなく、しかも毎食毎に「美味い旨い」と感激しながら大口開けて頬張った。
「不幸中の幸い」とでも云おうか、何れにしても母の存在の大きさ、有り難さを改めて知る機会となった。
今迄の親不孝を恥じるばかりである。

一週間後の7月16日(土)より、第27回ジャパンクラシックマスターズパワーリフティング選手権大会が、北上市を会場に18日(月)迄の3日間行われる。主幹協会の責任者として、会場準備などを含めると4日間自宅を空けなければならない。そんな時にもし、母が不測の事態にでもなろうものならと、ハラハラしていた。
なんとかそれは避けられそうである。
生きていると色んなことに出くわす。如何ともし難いことは往々にしてあるが、それも全て考え方ひとつである。
何があろうが、どんなことが起きようとも、修行の一環として受け止める覚悟だけは常に持っていたいものだ。

母の退院による好事とは対極の悲愴な出来事が、一昨日奈良市の市街地で白昼のもと、今の日本では考え難いことが起こった。安倍元首相の銃撃による暗殺事件である。
あまりの衝撃に、日本中が騒然となった。
犯人の動機がどうあれ、言論を暴力で、テロ行為で封殺するなどと云う蛮行は絶対に許してはならない。
東日本大震災の折、復興のテーマソングとして心の琴線に触れる「花は咲く」を聴く度、私は心が揺さぶられる。
特に、安倍元首相自らがピアノ演奏する「花は咲く」は尚更である。


フォト短歌「古墓」  


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