エッセイコーナー
309.第57回平泉芭蕉祭全国俳句大会  2018年7月1日

一昨日の6月29日は、7月前だと云うのに34度のうだるような一日だった。そんななか、平泉町中尊寺を会場に第57回平泉芭蕉祭全国俳句大会が行われた。
午前9時半より、芭蕉翁法要供養会が本堂で執り行われ、開会式、児童・生徒らの表彰式が同じ本堂で行われた。
その後約2時間の休憩時間を挟み、会場を同山敷地内西側にあるカフェレストラン「かんざん亭」に移し、特別選者の片山由美子先生による「古典に学ぶ俳句の韻律」と題する講演があった。
その後、応募句及び当日句入選の発表があり、各選者による選評、そして表彰式と一連の流れで第57回平泉芭蕉祭全国俳句大会が終了した。

私の本命は短歌や詩だが、地元と云うこともあり、また、俳句を学ぶことによってより深みを増すのではないかとの思いで、一昨年より2度目の拙句を投稿したのだった。
受付を済ますべく本堂前に足を進めると、友人である同寺の僧侶とばったりと出くわした。「今日はどうした?」の問いかけに、「本日の俳句にきたんだよ」と即答すると、すかさず「お前さんは短歌ではなかったのか」と問いかけられた。一般的な見方として、「二頭追うものは一頭も得ず」「節操が無い」などと云った中傷の眼差しで見られがちだが、ご他聞にもれず友もそう云いたげな表情で視線を遠方に逸らしたように見えた。

俳句はもともと和歌(短歌)から派生しており、血筋は同じであって、いがみ合う筋合いのものではない。詩情の表現方法の一つに過ぎない。互いの良さ、特色を取り入れ、融合することによってより感性の高い、深みのある表現が生まれるのではないかと私は思っている。
とは云いながらも、多少心にわだかまりを抱えつつ受付を済ませたのだった。

かんざん亭で行われた午後の部、片山由美子先生の講演では、俳句による字余りや句またがり、オノマトペの利用などの技法を丁寧に解説された。
字余りの項目では、四分の四拍子を基本に、圧縮してリズム感を持たせ、韻律、調べの重要性を説いておられた。
また、先生の海外での体験談、特にイランでの思い出を話された。
イランでは自国の詩人を、海外から来る観光客にも積極的に紹介しており、日本でも、もっともっと紹介すべきではないかと説いておられた。

言語の違いによりたとえ意味が通じなくとも、朗読することによって韻文の美しさを伝えることが可能ではないかと話しておられた。幸いここ中尊寺は、世界文化遺産に指定され、海外からも多くの観光客が訪れている。
古くは歌人の西行法師、俳人の松尾芭蕉などの傑出した文化人との縁も深い。
中尊寺や毛越寺、近郊には歌碑や句碑が存在感を示している。短歌や俳句と云った日本独特の文学、文化を積極的に紹介することを提唱しておられた。

また、季語については、積極的に新らしく生み出すことを提唱しておられた。
地方独自のお祭りなども、固定化、一般化させることによって季語となり得るのではないかと話しておられた。
岩手県一関市舞川には、5百種、6万株以上の紫陽花が咲き誇り、日本一とも云えるみちのくあじさい園がある。
本日、そのみちのくあじさい園が開園となり、約一ヶ月間、一般に公開される。

また、花の寺として有名な平泉町大沢の毛越寺では菖蒲が満開であり、あやめ祭り(7月10日迄)として色んなイベントが企画されている。
これらのお祭りや名所を俳句に詠むことによって、それ自体が季語として一般化することを願っている。
是非とも、岩手県に訪れ、中尊寺の月見坂を散策しみちのくの歴史に触れ、毛越寺に立ち寄り菖蒲を鑑賞しながら浄土庭園を散策し、世界遺産の荘厳にして妙妙たる歴史文化に触れていただきたい。そして更に、中尊寺や毛越寺から東に約10km、みちのくあじさい園まで足を伸ばしていただき、6万株の紫陽花群を鑑賞するなどして、岩手県南の名所、文化に触れていただきたいものだと、切に願っている。


フォト短歌「ひかリ堂」 フォト短歌「鳥居」  
     

2018年(平成30年)の開園期間:6月30日~7月31日(予定)   みちのくあじさい園までの地図>>


その他の写真>>


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