エッセイコーナー
392.第58回平泉芭蕉祭全国俳句大会  2019年6月30日

小・中学校児童生徒投稿1,180句、一般の部798句、当日句2百余の投稿句を集めて昨日、世界文化遺産、天台宗別格本山「毛越寺」の本堂を会場に、特別選者として「群青」共同代表の櫂未知子先生を迎え、第58回平泉芭蕉祭全国俳句大会が開かれた。
松尾芭蕉翁法要供養の後、式次第に則り、千葉力男平泉観光協会会長の開会宣言を皮切りに、大会会長である青木幸保平泉町長の挨拶、大会顧問の藤里明久毛越寺貫主の挨拶の後、児童・生徒らの表彰式が行われた。

その後、当日句の吟詠やお昼を挟み、「十七音の旅」と題して櫂未知子先生の講演が始まった。
日本各地の歌枕をモチーフとした松尾芭蕉や高浜虚子などの秀句数十点を取上げて、北から南へと名句とともに旅情を膨らませた。
生活者の視点もさることながら、客観的ではない旅人の視点で句を詠むことを説いていた。
名句が人をその地に惹き付け、その地を育てる。平泉が世界遺産に登録された背景には、芭蕉の句も影響していたのではないかと話していた。

ここ平泉には、西行の歌碑、芭蕉の句碑など、詩歌を親しむ環境に恵まれている。
隣接する一関市には、島崎藤村や井上ひさし、阿佐田哲也や及川和男、俳諧では加藤楸邨翁の著作や遺品などを展示する「いちのせき文学の蔵」があり、文人たちとの関わりが深い土地柄である。
名句はもとより、良質な文芸に触れ、関わることにより、この地域が穏やかで、益々文化的な発展を遂げることをただただ願うばかりである。

◆大会結果◆
大会長賞 当日句特選一席:梅雨空に舫ふ竜頭鷁首かな 鈴木道昭(一関市)

<特選入選作品>(以下は応募句のみ掲載)
櫂未知子先生選
天賞:花に酌む父の知らざる世を生きて  只野英子(宮城県大崎市)
地賞:平成に蒔いて令和の田植かな    青沼利秋(奥州市)
人賞:仏蘭西に往きたく蝶を飼ひ馴らす  西 史紀(長崎県長崎市)

白濱一羊先生選
天賞:でで虫の一歩測定不能かな     北嶺澄照(平泉町)
地賞:昼寝覚アリスの国の旅終わる    松本良子(遠野市)
人賞:くりかへし名札をさはる入学児   早川羽山(北上市)

小畑柚流先生選
天賞:古代蓮咲いて寂光よみがへる    岩谷塵外(秋田県秋田市)
地賞:蝶の舞浄土の庭を舞台とし     砂金文昭(一関市)
人賞:平成に蒔いて令和の田植かな    青沼利秋(奥州市)

小林輝子先生選
天賞:春蝉や耳朶のふくらむ磨崖仏    鈴木睦子(盛岡市)
地賞:招き浴ぶ初夏の香煙毛越寺     吉田貞子(奥州市)
人賞:通学の列整然と花は葉に      松本良子(遠野市)

渡辺誠一郎先生選
天賞:背に腰に湧きくる力春田打つ    小野寺敦子(奥州市)
地賞:ゆっくりと手をつなぎくる夕桜   菅原砂登子(花巻市)
人賞:夏草を食ひ尽くしたる戦かな    石川静江(一関市)

照井翠先生選
天賞:夏草を食ひ尽くしたる戦かな    石川静江(一関市)
地賞:蛍烏賊銀河の揺れるような湾    加藤次男(奥州市)
人賞:春耕の鍬に土塊残し逝く      石川静江(一関市)

私は残念ながら特選入賞を果たせなかったが、小林輝子先生選では秀逸に選ばれた。
   雉子啼きてなゐの予感の朝まずめ  伊藤周峰(一関市)


フォト俳句「なゐの予感」 藤里明久毛越寺貫主

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