エッセイコーナー
251.杜父魚釣り  2017年7月20日

台湾の大学に留学中の息子が、一時帰国し、いつもながらの釣行の催促があった。今年は未だ一度も渓流竿を物置から出してはおらず、尺物用の9号の針がサビついたのではないかと気になっていた。
そんなこともあって、二つ返事で息子の催促に首を縦に振った。
昨年の8月以来、約1年ぶりの釣行となる。

息子の今回の帰国の理由は、大学時代の友人の結婚式に出席するのが目的。過密なスケジュールの合間を縫っての釣行であり、私の仕事との兼ね合いもあって昨日の午前中のみの、時間的に余裕のないなかでの釣行と相成った。
そんなこともあって、出来る限り釣果の期待できる時間帯で勝負したかったのだが、仕事の都合上、就寝時間も当日の午前1時頃と、流石に3時起きとなると厳しい。2時間足らずの睡眠時間では眠くてしょうがない。やむなく起床時間は4時過ぎになった。

結局釣り場に着いたのは6時近かった。早速釣り支度を済ませ、竿を振り始めたのは結局6時半頃であった。
「朝まずめ」とは程遠い時間帯であった。まぁ、いつもの反省点と一緒だが・・・。
朝まずめは逃したものの、それでもやはり時期が時期、釣りの最盛期とあってリリースサイズを含めると入れ食い状態。小一時間に10数匹の釣果だった。
次第に手に伝わるこつこつとしたアタリの感触が増え始めてきた頃だった。
つい今しがたまで澄んで綺麗だった渓水がみつみるうちに混濁し始めたではないか。

ふと、上流域でのゲリラ豪雨が脳裏を過ぎったものの、水量が変わらなかったことからその心配はなさそうである。
となると土木工事による濁りか。予感的中、上流部で林道工事か河川工事が始まったようだ。
笹濁りとは異なり、流石にここまで濁ってくると釣りにはならず、多少時間も残っていたので止む無く釣り場を変えることにした。

車で10分程移動し、以前36cm程の尺超え岩魚を仕留めたポイントに向かってみることにした。
ところが、渓相は一変していた。嘗ての好ポインと云うイメージが、なかなか浮かんでこない状態であった。
時間もないことから、兎にも角にも竿を出してみると、こつこつとした微妙なアタリが指先に伝わってきた。
手首を固定し、そのアタリに慎重に合わせ、ゆっくりと竿を上げてみると、なんと尺超えの岩魚どころか、2寸足らずの杜父魚(かじか)であった。その後も立て続けに「かじか」「かじか」の大連発に、竿をたたむことと相成り、山の神や渓流の精霊に一礼を持って感謝の意を収め、帰路に着いたのだった。


フォト短歌「花杜父魚」  

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