エッセイコーナー
481.いのち  2020年5月1日

志村けんさんや岡江久美子さんの新型コロナによる急逝はあまりにも衝撃的だった。
世界49か国のPCR検査数、陽性者数、死亡者数のデータを基に、十分なPCR検査を行っている国ほど新型コロナウイルスによる死亡率は低くなる。と云った解析結果を千葉大学大学院の研究グループが発表した。
日本ではPCR検査を受けようと、保健所などに掛け合うもののなかなか相手にされないケースが全国で問題視されている。従って検査数は決して多いとは云えない状況である。
衆議院予算委員会では連日その検査数について侃々諤々と与野党の論戦が続いている。
内閣は増やす意向を示しているものの、現実的にはまだまだ不十分であり、実際に検査を受けられずに自宅待機を余儀なくされている人たちも相当数いるようだ。

9年前の東日本大震災の折、停電が暫く続き、テレビを見ることも叶わず。身近な情報が欲しくて買い置きの電池をかき集め、ラジオのスイッチを入れてみた。
ところが、責任問題の追求など、強い口調で与野党の論戦、いや、けなしあいが延々と続いていた。
呆れてものも云えなかった。
そんなことは後でやれ。
今は有事である。与野党一丸となり、力を合わせて目の前の危機を乗り越えるべきではないのか。
今の新型コロナ危機もしかりだ。

死者、重篤者、感染者を減らす為には是非とも力を合わせて頑張ってもらいたい。
その為にも、医療崩壊を起こさず、PCR検査の数を兎にも角にも増やし、スムーズに検査出来るような体制をしっかりと構築していただきたい。今更の感は否めないが・・・。
とは云え、医療関係者への負担は実に大きい。既に、限界に近い状態であろうと思われる。本当に頭が下がる思いだ。
与野党一丸となって、医療関係者へのフォローに全力を尽くしていただきたい。

ブラジルやアメリカの一部では、新型コロナの収束を見ずして、経済活動の回復を優先させようとの気運が高まっているようだ。
その結果、更なる感染拡大が懸念される。
「人の命よりも金が大事か」「何を馬鹿なことを云っているんだ」と一蹴したいところだが、今朝のモーニングショーで珍しくも(失礼!)長島一茂氏がいいことを云った。
「緊急事態宣言を更に一か月伸ばす」とする安倍総理の表明に対して、そのエビデンスを求めることや、事業者や失業者への救済に対する具体的な方法の提示を求めること以外に、専門委員会のメンバーを医療関係者や法律関係者のみならず、経済の専門家も加えるべきだ、と提言した。

そのことは、京都大学大学院の藤井聡教授も主張するように、経済活動の自粛、停滞が続くことによって個人事業主や失業者の自殺率を高め、新型コロナで死亡する数を上回るのではないか云々。
その懸念を全く無視はできないのではなだろうか。
「命を守る」と云う観点から、
局所的な偏向意見のみの判断ではなく、多面的な意見を取り入れ、感染予防と経済活動の共存を模索しながら、俯瞰し、達観をもって生命の尊厳を守っていただくことを只々願うばかりである。


フォト短歌「いのち」 フォト詩歌「いのち」
 



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