エッセイコーナー
94.渓流釣り「晩夏の釣行」  2014年8月22日 

震災以降、釣行の回数がめっきりと減った渓流釣りだが、今回は5月に引き続き今年に入って2回目となる、おそらく今年最後となるであろう渓流釣りを堪能することができた。
西日本、特に広島市北部では、土石流が発生するなどの局地的集中豪雨に伴い、甚大な被害が発生した。(心よりお悔やみ申し上げます)
とても釣りどころではあるまいと思いながらも、年に1回か2回、息子の帰省に合わせての楽しみとして、後ろめたさを感じながらも幽谷の岩魚釣りに向かったのだった。

天気予報は曇り時々雨。多少の雨は覚悟の上だが、今の気象状況は実に判断し辛い。スポット的に降る集中豪雨が最大の注意事項だが、もし万が一、入渓する上流部でゲリラ豪雨が発生した場合、鉄砲水となって下流に押し寄せてくるだろう。もしその鉄砲水に襲われようものなら、大概の入渓ポイントはV字谷になっているため逃げようがない。その事を常に念頭に置きながらの入渓となる。
幸い今回の釣りも、多少雨に濡れはしたものの増水する程の雨量ではなく、無事に下山することができた。

今回の釣行だが、3時半起床、北上川水系の支流(この辺は殆どが北上川水系だが)を目指して西にハンドルを切った。
夏草が生い茂り、ところどころが凹むなど、おつ凸の激しい砂利敷きの林道はまるで車の行く手を阻んでいるかのようだった。
それでも、注意深く道なりに進むと、目指すポイントに無事に辿り着くことができた。その目的地に着く頃には辺りは既に明るんでいた。
「早く釣り糸を垂らしたい」との逸る気持ちを抑えながら、淡々と身支度を済ませ、いつもの様に、山や川の精霊に自分流だが心をこめて挨拶をし、息子共々、足元に注意を払いながら溪谷に向かったのだった。

私ども親子の釣りは、フィッシングのゲーム感覚を味わうというよりも、職漁に近いかも知れない。
釣った魚を売りに行く訳ではないが、基本的には釣った魚を食べることにしている。勿論、リリースサイズは川に戻すよう努めている。そんな意味では、自給自足の意味合いが強いと言えるかもしれない。
釣果は31cmの岩魚を筆頭に、まずまずの良型岩魚が5匹だった。決して欲はかくまいと午前中のみで切り上げることにして、入渓の際と同様、山や川の精霊に感謝と畏敬の念を持って一礼し、家路に着いたのだった。




私のエッセイ集-尺超え岩魚

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