エッセイコーナー
137.注目の岩手県知事選挙  2015年7月21日

8月20日告示、9月6日を投票日とする岩手県知事選が約一ヶ月半後に迫っている。
3期目を目指す現職の達増拓也(51)氏と、元内閣府特命担当大臣や復興相など大臣経験のある平野達男(61)氏との一騎打ちがほぼ確実視されている。
基本的には両者とも無所属での出馬のようだが、両氏を支援する政党や団体が明確に別れ、特に先頃閣議決定し、強行採決に及んだ安保法案云々が今回の知事選の行方を左右するとみられている。

去る7月8日に行われた岩手県議会では、与党多数による国会での強行採決以前に、安全保障関連法案の「廃案」をめぐり、議長を除く43名の採決結果、14名(自公系)の反対に対し、同県に地盤があり、現職の達増知事が傾倒する小沢一郎氏率いる生活の党系会派らの県議29名(民主、共産ほか)が賛成し、廃案の意見書提出が可決された。

岩手県議会では圧倒的多数で自公連立の安保法案に対し、不支持を表明している。
その事実を鑑みれば、潮流に乗る現職の達増氏が優位に思われるが、ただ、対抗馬の平野氏は元復興相(初代)として東奔西走、当時は党内事情などごたごたがあったようだが、国難を乗り切り、震災の復興を最優先するなど、岩手のみならず被災地の復興に尽力された人物であり、復興を推進できる能力とネットワークを十二分に有する人物である。

東日本大震災から4年と半年が経った今でも、なかなか復興の実感がわかない中で、どれだけ被災地の為になるかをじっくりと見定める必要がある。
また、激動する昨今の社会情勢の中で、今後岩手はどうあるべきか、どう歩むべきかを問うた時に、一番必要とするのは温厚で穏健な中にも強いリーダーマインドや犠牲的精神を持った真のリーダーが必要となる。

「知事選の争点は安保法案だ」と無責任にも興味本位のジャーナリストらは声高に云うが、我々県民にとってみれば知事選はあくまでも我々地方の選挙であり、「論点が違うぞ」と云いたい。
集団的自衛権を容認する安保法案に反対する一人として、9月6日は、賢明なる岩手県民の判断に期待したい。
因みに平野氏自身も、国会での安保法制強行採決に対し、「議論が拙速になるのは決して良くない」とし、賛否は議論を見て判断すると述べている。

<追記>
8月7日の記者会見で、平野達男氏が岩手県知事選出馬を断念するとの発表があった。理由については想像に余りあるが、ただただ残念である。
被災地としての復興加速に向け、実力者として大いに期待するとともに、高校同学科の先輩でもあり返す返すも残念でならない。


 


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