エッセイコーナー
572.岩手の韻律  2021年2月20日

コロナ禍のもと、もし、石川啄木や宮沢賢治が生きていたなら、どんな詩や短歌を残しただろうか。
それぞれの時代、色々な社会背景があり、色んな出来事がある。苦しみや困難が多い時にこそ、啄木の哀愁を帯びた短歌に癒され、利他愛に富む賢治の詩に励まされ、心の浄化を得られるのではないだろうか。
新型コロナワクチンが、医療従事者4万人を対象として接種が始まった。
薬事承認された米国製薬会社のファイザー製のワクチンが先行するとのことだ。
待ちに待った渇望のワクチンだが、日本製でないことに口惜しさを感じ、また何故もっと早く接種出来ないのかなど、色々不満も残る。
しかしながら、啄木や賢治が生きていた時代は、医療体制はもとより、当然ワクチンなどはなかったであろう。
そう考えると、今の時代に生まれて幸運だと、思える。そんなことから、啄木や賢治が生きた時代の、生の苦しみや辛さを思いながら、「岩手の韻律」と題して動画を作ってみた。

前半は陸前高田市の石碑に刻まれた啄木の一首、「頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず」から始まり、『一握の砂』や『悲しき玩具』より18首。
後半は賢治の『雨ニモマケズ』をじっくりと噛み締めながら編纂してみた。
岩手の自然と風土に育まれた二人を偲びながら、詩歌の文脈と行間に想いを馳せてみたい。
因みに、135年前の今日、石川啄木は岩手県(現在の盛岡市)で生まれた。

話題は一転するが、現在メルボルンパーク(豪州ビクトリア州メルボルン)を会場に全豪オープンテニスが佳境を迎えている。
日本勢では唯一、大阪なおみ選手が決勝に駒を進めた。
決勝は本日、(2月20日)日本時間で午後5時半から始まる。対戦相手はジェニファー・ブレイディ選手である。
私は3回戦の試合を見て、今全豪オープンは大阪なおみ選手が制すると確信した。
と云うのも、2月12日(3回戦)の試合途中、大阪選手に色鮮やかな蝶が飛来した。緊迫した状況のなか、普通なら手で振り払うところを、大阪選手は優しくその蝶を逃がしてやった。
「勝利の女神がほほ笑んだ」と云うよりも、大阪選手の優しさに加え、勝利者の要件である冷静且つ沈着さが一段と磨かれたように思えた。テニスの技術や体力のみならず、心もかなり成長したようである。


フォト短歌「雨ニモマケズ」  



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