エッセイコーナー
9.慈愛の心  2009年2月3日

世の中には、本当に凄い人がいるものだ。不可能と言われている不毛の地を、緑の楽園に変え、貧しい農民の飢えを救い、諦めかけ ていた人達に希望を持たせ、感動を与えた人物がいる。近藤亨(87歳)さん、その人である。
近藤さんは出身地である新潟県の新潟大学助教授を経、県の園芸試験場の研究員となって、国際協力事業団の果樹栽培専門家としてネパールで営農指導を行っていた。
国際協力事業団を退官後、70歳にして、再びネパールに訪れ「現地の人達を何とかして貧しい暮らしを一変してやりたい」と、私財を投げ打って、ネパールのムスタンに移り住んだのである。

営農指導者としての技術を活かし、不毛の大地を緑の楽園に変えたのだが 、その苦労も並大抵のものではなかった様だ。稲作に至っては、ヒマラヤの麓、標高3.000m、冬はマイナス40度にもなる極寒の地 、何度も何度も失敗したそうだ。それでも、4年目にして漸く奇跡を起こしたのである。
稲作以外にもハウス栽培による野菜作り、 植林事業、ヒマラヤの雪解け水を利用したニジマスや鯉の養殖や、ヤギの飼育、リンゴ栽培等、その功績には目を見張るばかりだが 、それだけではない。託児所や学校の建設、学校の建設では今までに17校も建設したそうである。そればかりか、病院の建設にも携わっている。

それらの功績を讃えられ、ネパール国王から勲2等の勲章も授かっている。本当に凄い偉業を成し遂げた人なのだが 、偉業を自慢する事も無く、実に謙虚な方で、現地の人達からは「神様の様な人」「優しいお爺ちゃん」と慕われている。
私欲にとらわれることなく「現地の貧しい農家の人達が、豊かになることを一目見ないうちは私は死ねない」と、話している姿に深く感動を受け、私も涙が止まらなかった。
「願いは強ければ強い程叶うもの」と、先日の放送「世界を変える100人の日本人」という番組を見て改めて実感させられた。

不可能を可能にし、貧しい人達を救い、夢や希望を与える。これぞ、正しく「真の慈愛の心」以外の何ものでもない。
秘境の地で、ロバに跨り瓦礫の道を進む姿は87歳とはとても思えない程、かくしゃくとしている。
仏教の教えに「因果の法則」というのがある。その意味は「善い考え、善い行い」をすれば、善い事が返ってくる。と言う教えだが、もう時期90歳にもなる近藤さんの、健康でしかも、かくしゃくとして生き生きとし、満ち足りた表情を見ていると、その現れではないかと思えて仕方が無い。
現地の人々、いや世界の人々が心の底から望む様に、何時までも元気な姿を見せてもらいたい。あの長髭を風に靡かせ、 颯爽とロバに跨る姿を・・・。

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