エッセイコーナー
507.幻の滝「霊験の滝」  2020年7月21日

大雨や地震、台風などの自然災害に、ウイルス感染などを併発する複合災害、人災の部分も大いにあるだろうが、兎にも角にも災害が多い。生きる為の試練と云うことなのだろう。
新型コロナの感染拡大は実に脅威だが、自然災害との複合災害はパニックになりそうだ。
九州地方での豪雨災害、特に熊本県では65人の死亡、2人の行方不明をだすなど、被害は甚大だ。家屋を流出し、命からがら逃げたとしても、感染の恐怖を懸念しながらの避難所での身の振り方は、本当に頭が痛くなるのではないだろうか。
熊本県と云えば、2016年の地震を思い出すが、わが岩手県でも2011年の東日本大震災、その3年前には岩手宮城内陸地震があった。

岩手県南部の一関市厳美町祭畤地区を震源とするマグニチュード7.2 、最大震度6強の直下型地震だった。
祭畤地区は一関温泉郷として、我々一関市民にはなくてはならない憩いの場だ。その温泉地に向かうには磐井川の支流、鬼越沢を越えなければならない。そこに掛かっている橋が祭畤(まつるべ)大橋だが、震源に近いこともあり、岩手宮城内陸地震によって崩落してしまった。

当時、その原因を調査した東北大学院工学研究科の鈴木基行教授らによると、祭畤大橋の構造上の問題については、当時(昭和53年完成)の設計や構造基準と照らし合わせた結果、何ら問題のないことが確認された。
落橋メカニズムに関する意見交換では、通常では考えられない10mにも及ぶ地盤の移動と、橋脚の湾曲に対する補強材(鉄筋)の一部を、途中で裁断する「段落とし」による構造上の問題の2点を、最大の原因であると指摘した。
推定では6.500トンもの強大な地震圧力が加わったとみられている。

その強大な地震圧力により、橋脚のみならず祭畤地区周辺のいたる所で山体崩壊が見受けられた。
祭畤大橋からおよそ3㎞ほど下流部でも、山体崩壊により大量の土砂が流れ込んだところがある。その崩れた土砂によって磐井川の中流域が堰き止められてしまった。
そのままでは大変な事態になるところだったが、地元の土木会社らによる決死の突貫工事により、無事に行き場を失った磐井川の大量の水が流れ始め、多くの一関市民の命を救ったのだった。

その工事の跡が今でもしっかりと確認できる。
工事跡の直ぐ上流部には、梅雨時や大雨の後でしか現れない幻の滝「霊験の滝(私が勝手に命名)」がある。
日頃の草刈り等で草臥れた腰や膝、肩や手首などを癒しに、お気に入りの温泉である山王山温泉「瑞泉郷」の霊験の露天湯に浸かった後、足を延ばしてみたのだった。


フォト詩歌「大地」


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