エッセイコーナー
668.第2回舞川の風物写真展「烏兎ヶ森の由来」  2022年2月18日

一関市舞川市民センターを会場に、第2回舞川の風物写真展が開かれている。地元の写真愛好家より70点の写真が寄せられ、会場を彩っている。展示期間は2月16日(水)から24日(木)迄の9日間。
拙作だが、私の写真も5点程展示されている。
特に、会場に入って右手前下に展示された写真は、特に思い入れのある一枚である。
舞川のシンボルのひとつに、烏兎ケ森と云う標高350m程の小高い山、森がある。その頂上で撮った写真だ。

以前は見晴らしも良く、360度一望出来る眺望抜群の展望地であった。その為地元以外からも観光で訪れる人がいたことから、ベンチなども置かれている。
ところが、今では訪れる人も少なく、ベンチはすっかり錆びついていた。嘗ての風光明媚な眺めを堪能出来る頂上は、辺り一面雑木の繁茂により視界は遮られ、満目荒涼の有様である。

烏兎ケ森と云えば、以前妹から烏兎ケ森の語源や由来を尋ねられたことがある。地元の図書館で色々調べてみたが、確かな情報は得られなかった。
ただ、仮説は色々あるようだ。
物の本によると、「烏兎ヶ森の『ウド』は、有道、有戸、宇登と書かれる場合は『低くて小さい谷』の意味。
また、烏兎、善知鳥、宇道と書かれる場合は『連峰、鈍頂の山や丘』をさす。宇土、宇都、宇頭と書かれる場合は『崖』のことをさす」とあった。

また、別の郷土誌には興味深い内容のものが書かれていた。
『義経の硯石』と云う舞川の民話・伝説があり、そのなかに、「烏兎ケ森の頂上の岩の上に義経の硯石と伝えられるものがある。これについては、封内風土記(明和8年田辺希文撰)に次の様に記してある。
『この硯石は相川の小戸森(烏兎ケ森)に在って伝えられるに、源義経がこの石を硯として書を学んだので硯石と名づけられた。常にその中に水があるが、晴天の時に汲んでこれを乾かせば必ず雨が降る』」と書かれている。

伝説の内容も興味深いが、それよりも小戸森(烏兎ケ森)と書かれた部分に注目したい。
烏兎ケ森の東側に、小戸と云う屋号の家がある。私の曾祖母の生家だが、かなり古い家柄で、多くの山林を所有している。
おそらく前述した「烏兎と書かれる場合は『連峰、鈍頂の山や丘』をさす」とあるように、「小戸森」とが混じりあって烏兎ヶ森になったのではないかと私は推測している。
前回の第1回写真展もそうだが、今回の写真展もやはり烏兎ケ森の写真が多いようだ。

569.馬の尻尾


フォト短歌「閑雅の里」 烏兎ケ森


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