エッセイコーナー
120.三つの価値  2015年2月27日

「人生三つの価値」~3・11後の現代を生きる上での価値観を共に考えましょう~とのタイトルで、昨日、岩手日日新聞社主催の第32回岩手日日文化賞贈呈式の記念講演として、及川和男(作家・一関図書館名誉館長)先生の講演会が一関文化センターで行なわれた。
◆3・11大震災で突きつけられた根源的な問い
◆価値の根本とは何か
◆ともに考える人生三つの価値(ビクトール・E・フランク『死と愛』より)
 ・創造価値~人間は、仕事や育児や学問、芸術などの創造行為をとおして、この世界に寄与できる価値
 ・体験価値~人間が他者との出会いや触れ合い、自然や芸術などでの体験をとおして、世界から何かを得るという価値
 ・態度価値~人生の運命や極限状況に対して、人間がとる態度の創りだす価値
以上の講演資料に基き、人生訓として実に意義深いあっと言う間の70分間だった。

東日本大震災では、多くの尊い命、何十年、いや何百年もの歳月を大事に大事に受け継いできた建物、思い出のいっぱいいっぱい詰まった家財道具など、一切合財、全てが津波にのみ込まれた。
また、福島原発の事故により、先祖伝来の土地、安住の地を強制的に奪われ、今尚避難所生活を余儀なくされるなど、未曾有の大災害を被ったことにより、生きる上で、根源的な問いが現実的に突きつけられることとなった。

バブル当時は、お金や物が溢れ、過度な過剰生産によって店頭に並ぶ弁当やパン類などは、趣味期限切れの売れ残りは直ぐに廃棄処分される。所謂現代は飽食(先進国のみ)の時代となった。
証券市場を見渡せば、金や銀を初め、挙句の果てには野菜や主食の米類までもが、取引の具となり、投機、マネーゲームの対象となっている。
そのマネーゲームにみるように、余裕がある人や処にのみお金が集まり、それと同じように、お金がお金に磁石のように吸い寄せられ、部分的に集中する所謂格差を助長するのが今の資本主義経済である。

だが果たして、そのお金や物が、本当の幸福をもたらすのだろうか。お金や物の豊かさが、人間の幸福感そのものなのだろうか。
本来ならば、本当の幸せ、幸福感というものは、人の命を軸に、或いは命を主語として、価値の根本として『人間』を置かなければならないと、哲学者の阿部次郎翁や、1962年、全国自治体初の乳児死亡率ゼロにした岩手県和賀郡沢内村(現・西和賀町)の元村長、深沢晟雄(故)さんを引き合いに出しながら及川名誉館長は話された。

また、幸福感の根源にあるものとして、「平和」であり、「自由」であり、「健康」と「誇り」を持ち、「豊かな自然」の中に囲まれることが必要不可欠だとも話されていた。更には尊敬しあう人間関係が必要であり、そしてその後に、チャップリンが唱えた「希望と勇気とサムマネー」を用いながら、「最低限の金銭があれば良い」と説かれた。
また、ビクトール・E・フランクが唱える三つの価値に触れ、自己の存在価値を明確に持つことにより、どんな困難をも乗り越えられ、また、苦悩することは、人間を成長させる大きな要素だとも話しておられた。
更には、態度価値を高めるためには、優しさを持って他人に接する愛他的精神を忘れないことの重要性を説かれていた。

過去の反省も含め、じっくりと前述の三つの価値について自問自答しながら、今後の人生の指針、生活信条として歩んでいきたいものである。

幸せとは「世界一心の豊かな大統領」>>




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