エッセイコーナー
499.餅食文化の一関  2020年6月25日

私が住んでいる岩手県一関市は、餅食文化が盛んな土地柄で、昔ほどではないが今でも冠婚葬祭の慶事や弔辞の折、必ずと云っていいほどお膳に添えられる。勿論、お餅がメインのお膳も多くある。
一般的なものでは、あんこ餅やずんだ餅、じゅうね餅、きな粉餅、納豆餅や磯辺餅、お雑煮、ごま餅やふすべ餅など。他にも生姜餅やエビ餅などなど、一関地方には300種類以上あると云われている。
当地のもち文化は伊達藩の流れをくみ、各家庭によって味付けも様々である。
そのことから、当地域では餅の原料となるもち米の作付けが盛んで、品種は岩手県の必須銘柄である「こがねもち」「ヒメノモチ」及び「もち美人」を中心に栽培されている。

私は元々甘党だが、子供の頃はあまり餅は好きではなかった。「これは美味しい」と思ったのはせいぜい、納豆餅やお雑煮ぐらいのもの。しかしながら今では、どの餅を食べても美味しいと感じる。
我が家では、私のみならず父や祖父(故)の男衆の好物(但し、息子は嫌い)である。

その餅食文化を題材とした映画が、この度、上映されることになった。
地元一関では、一関シネマプラザが明日(6月26日)から。東京・渋谷の映画館「ユーロスペース」では7月4日から上映される。
映画のあらすじは、一関市本寺地区を中心に、昨年3月に廃校となった一関市立本寺中学校を取り上げ、在校生だった主人公(ユナ15歳)が、祖父の拘る杵と臼で餅つきに協力して、亡き祖母を送り、偲ぶと云った内容。長閑な山間鄙村の風景と牧歌的な心象風景を背景に、少女の複雑な心境をオブラートに包みながらも軽妙なタッチで描かれている。

制作は蒼井優主演の映画『たまたま』の監督であり、300本以上のCMを手がける小松真弓さんと、世界各国で個展や美術展への招待出展を実績に持つ広川泰士さんが撮影を手掛けた。
因みに、祖父役として渋い演技をみせる白髪の出演者は、一関市舞川の蓬田地区に伝わる蓬田神楽の庭元、蓬田稔さんである。
また、一関・文学の蔵元会長で作家の及川和男(故)先生のご子息、及川卓也氏(マガジンハウス・コロカル統括プロデューサー)がエグゼクティブプロデューサーとして関わっている。


フォト短歌「ぐみ」

         岩手日日新聞(2020年6月24日掲載)


≪return    Tweet   
ブックオフオンライン