エッセイコーナー
463.女川原発再稼働の行方  2020年2月28日

東日本大震災の被災地、宮城県の女川原発2号機が、規制員会の審査に合格したとのニュースが報じられた。
中国武漢市を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大により、戦戦恐恐の今日、われら東北に居を構え、終の棲家として晩年を平穏に暮らそうとする者にとって、不安を掻き立てるような報道により、更なる不安を生む結果となった。
3月11日まで残すところあと2週間を切り、東日本大震災から9年目を迎えようとしている。
福島原発の事故に伴い、多くの避難者が出た。今まだ避難を余儀なくされ、故郷を否が応でも追い出された人たちが相当数いるのが現状である。そんな状況にも係わらず、まるであの悲惨な大事故がなかったかのように、風化しつつあるように感じられてならない。

女川原発には3つの原子炉があり、1号機は廃炉を決定してるとのことだが2号機について、東北電力は再稼働をさせたい意向のようだ。
再稼働のメリットについて、東北電力は2号機を再稼働させることにより、火力発電所の運転にかかる燃料コストを大幅(年間350億円)に削減できるとの説明だ。
しかしながら2号機の再稼働に向けて、防潮堤などの安全対策工事に3400億円を費やす見込みとのこと。
専門家によると、火力発電所の燃料コストの削減分を遥かに上回る安全対策費が計上されるのではないかとみている。

経費云々もさることながら、一番の問題はなんと云っても安全性の問題である。
仮に福島原発のような大事故を起こしてしまったなら、近隣住民、いや広範囲の国民に対してとんでもない損害と迷惑をかけ、途轍もない経費を費やすことになりかねない。
それだけではない。
稼働することによって核のゴミが出る。そのゴミの処理、行方は決まっているのだろうか。最終処分の仕方、場所は決まっているのだろうか。トイレの無いマンションの行く末は、誰もが想像できる単純明快な答えである・・・。

それにしても、新型コロナウイルスの感染に伴い、全道小中学校の休校を決めた北海道知事の決断は評価できる。
まさしく英断と云えるのではないだろうか。
その勇断を受けてか、安倍総理が全国の小中高等学校に対して一斉休校を促した。結果的にはそれもまた英断と云えるのかもしれない。
ただ、その総理の発言を受けて地方自治体や父兄らは混乱をかくせず、反発も強い。
しかしながら今は緊急事態だと云うことを忘れてはならない。

感染の温床となりやすい学校の閉鎖は致し方なし。なにはともあれ子供らから犠牲者を出す訳にはいかないだろう。
突然の休校要請に戸惑うだろうが、どこの学校でも冬休みや夏休み、春休みがある筈。平静さを取り戻して対処すべきではないだろうか。
それにしても前出の鈴木直道知事の座右の銘がまたいい。
「お金を失うことは小さく失うことだ。名誉を失うことは大きく失うことだ。しかし、勇気を失うことはすべてを失うことだ。」
このような勇敢で苦境を肌で知る人物こそが、今後の日本を正しい方向へと導いてくれるものと確信している。


フォト短歌「土竜」



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