エッセイコーナー
436.男の意地  2019年12月2日

第68回全日本相撲選手権大会が昨日、両国国技館で行われた。
決勝に進んだのは学生の2名。カザフスタン出身で日大のバルタグル・イェルシン選手と、先月の全国学生選手権大会では惜しくも2位の谷岡倖志郎選手(近畿大学)の学生対決。制したのは近大相撲部の谷岡倖志郎選手だった。
押し、突っ張りが得意のイェルシン選手に対して、廻しを取り、組めば力を発揮する谷岡選手が有利と予想していたが、立ち会いから押し突っ張りによるイェルシン選手が若干優勢と思われた。
しかしながらその攻撃を凌ぎに凌ぎ、耐えた谷岡選手は左上手を取った。あとは腕力に勝る谷岡選手が一気に攻め、左上手投げで第68回全日本相撲選手権大会を制覇した。
筋骨隆々の谷岡倖志郎選手、今後が実に楽しみである。

今回の大会で、岩手県人として一番期待、注目していた選手が、盛岡市役所勤務の五十嵐敦(31)選手である。
初戦に勝利したものの、左足を引きずっての土俵だった。
聞くところによると、つい2週間程前に左膝を負傷したとのこと。

先月の11月21日、盛岡市で行われた岩手県体育協会秋の賞典(表彰式)の折、控室で待機していると、目の前を大きな選手が横切った。それが五十嵐選手であった。
彼は今年10月、大阪府堺市で行われた第23回世界相撲選手権大会の重量級で優勝し、栄光賞受賞の為に会場に訪れていたようだ。
その五十嵐選手が、昨日行われた全日本相撲選手権大会の準々決勝で惜しくも破れたものの、男の意地、信念を貫いた試合だった。その姿は実に感動的で、涙を誘った。

と云うのも、負傷した左膝をテーピングでガッチリ固め、痛みに耐えながらの善戦であった。
膝の痛みは如何ばかりか。
私も左膝靭帯を損傷しており、その痛みや苦しさはよく知っている。よくぞ、あそこまで頑張ったものだ。
元横綱の貴乃花が、引退を余儀なくされた平成13年夏場所の優勝決定戦とオーバーラップするが、後は温泉にでもゆっくりと浸かり、じっくりと直してほしいものだ。
谷藤盛岡市長、私からも宜しくお願いします・・・。


フォト短歌「男の意地」  


≪return    Tweet   
 スポンサード リンク (Sponsored Link)