エッセイコーナー
10.親孝行とは  2009年9月22日

ある方から、「親孝行ってなんだろうね?」と言う質問に、はてさて、返答に窮してしまったのだったが、迂闊にもその答えの一つとして、「親と同居することだ」と安易にも答えてしまった。
しかしながら、物理的に不可能である人達も中にはいる、という事を後になって気づいたのだが時既に遅し、後の祭りだった。仮に親と同居することが一番の親孝行だとしても、そうしようにも出来ない人にとっては非常に辛い回答だったに違いない。言葉はよくよく選んで話すべきだと後悔しきりであった。

仕事や色んな事情で、親と離れ離れに暮らしている人達は大勢いる。その人達が親に対して「同居しようよ」と話してみても、住み慣れた土地を離れたくないとする親たちは大勢いる。歳をとればとる程その傾向が強い。
現に、私の友人もその一人である。年老いた母親一人を残して異国で暮らしている。帰国する度に、その事が何度も話題にのぼる。心中察するにいかばかりか。彼の心中は母への想いや心配の念で一杯なのだ。
私は安易に答えてしまった事に対し、自分の不甲斐無さに憤りを感じてしまった。
そんなこともあって、「親孝行」に付いて改めて考えてみる事にした。

一般的な見方として、
「親に心配をかけない事」「迷惑をかけない事」などがある。
しかしながら、迷惑や心配をかける事も親孝行の一つだ、とする意見もなかにはある。
また、「経済的な援助をする事」或いは「出世して自慢の子になる事」などもあるだろう。
完璧であればそれに越したことはないが、果たしてそれだけなのだろうか。
常日頃から、「親孝行せねば」と考えているものの、具体的にどうしたら良いものなのか、なかなか判断に迷うところだが、解決の糸口として、「親が望む事」に対して期待に応える事、と言うのが回答の一つでもある。

親自身、望む事は人それぞれだ。ある母親は「子供が健康であればそれでいいのよ」又、ある父親は「経済的に支援してもらえればそれで良い」と言う人も中には居るだろう。
それぞれに、親の望む事に応えられれば良いのだろうが、もし、私がその立場で考えてみるとしたら、一番の親孝行とは、やはり、子供が健康で、しかも家庭円満であればそれだけで充分だと思うのである。
親は何歳になろうとも子供の事が気がかりなのだ。

子供の幸せそうな顔や姿を見ることが、親にとっては一番の幸せであり、それが何よりの親孝行なのではないだろうか。
財力に恵まれずとも、決して高名にならずとも、幸せな結婚をし、幸せな家庭を築く事や、仮に一人だったとしても、その子が「今が一番幸せなんだ」と思っている事こそが一番の親孝行だと私は思っている。
今後、もし「親孝行とは何ぞや」と質問されたならば、
「我が子が幸せでいる事が一番の親孝行だ」と答えようと思う・・・。

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