エッセイコーナー
273.パシフィック・ウォー  2017年12月1日

繁忙期もようやく一段落し、多少の時間的余裕が出てきた。
とは云え、年越しに向けて何やらかにやらとあることは否めないが・・・。
取り敢えずは一息つけそうだと云うことで、DVDを借りることにした。
借りたのは準新作3本。そのうちの1本は残念ながらパソコンに呼び込んで早々、エンデイングのテーマ曲が流れてきた。と云うことは以前パソコンに呼び込んだと云うことだが、すっかり忘れていたようだ。
結局は時間が勿体無いので他の作品を観ることにした。
その中の1本が、今回取り上げた「パシフィック・ウォー」である。
この映画は2016年9月に公開された米国の戦争映画で、主演はニコラス・ケイジ。監督はマリオ・ヴァン・ピーブルズ。

あらすじは、1945年、米軍の極秘任務(核弾頭の輸送)を課せられた巡洋艦インディアナポリスの沈没を、史実に基づいて映画化されたものだ。
インディアナポリスは2発の核弾頭をテニアン島に運び終え、次なる任務遂行のため洋上を航行していた。
その時だった。
近くの海底に潜伏していた橋本中佐率いる大日本帝国海軍の潜水艇、伊号第五十八潜水艦が魚雷を放ち、的中した。
日本海軍は捨て身の戦法である人間魚雷、特攻兵器「回天」を温存していた。
インディアナポリスの艦長は、ジグザグ走行も視野にいれていたようだが、回天には通じないと判断していたようだ。

その後インディアナポリスは船体が真っ二つとなり、大量の水しぶきを上げながら沈没してしまった。
多くのアメリカ海兵隊員がその犠牲となり、運良く浮遊物にすがり生き残った隊員らはサメの餌食となった。
その残酷さが画面いっぱいに映し出されていた。
極秘任務とあって、救助が遅れたことから犠牲者は増える一方だった。

結局生き残ったのはマクベイ艦長以下316名。乗組員の約4分の3に当たる900名以上の犠牲者を出す結果となった。
救助されたのは漂流4日目。命が尽きかけたと思われた時だった。
本来なら救助の遅れが問題視されるべきだが、軍の上層部は艦長に責任を押し付け、軍法会議には大日本帝国海軍の橋本中佐を証人として招き、マクベイ艦長がジグザグ走行を怠ったことに対する責任を追求した。
後にマクベイ艦長は自問自答し、艦長としての責任を果たそうとピストル自殺を図り、最期を迎えたと云う切ない結末だったが、戦争の惨さ、醜さ、無念さ、そしてサメの恐ろしさが遺憾なく表現された映画だった。

残念にも、核弾頭をテニアン島に運ぶ任務が遂行されたことにより、広島や長崎が大変な目に遭った。
日本国民として複雑な思いで観終えたが、裁判所を後にしたマクベイ艦長が橋本中佐に歩み寄り、軍人として互いに任務を果たしたが、人間としては間違っていたと涙ながらに互いの目をしっかりと見つめ、敬礼で別れた場面が今でも瞳の奥に鮮明に残っている。

人間として、この様な取り返しのつかない間違いは二度と起こすべきではない。
日本海を挟み、西の脅威、恫喝は今尚止むことを知らないが、それに対する強硬な圧力、強堅な挑発も益々エスカレートするばかりだ。
「窮鼠猫を噛む・・・」圧力ばかりでは、いつ何時、牙を向いてくるのか分からない。
それに対して、日本政府は呆れたことに被害の想定すらしていないとのことだ・・・。


フォト短歌「荒小田」  


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