エッセイコーナー
129.ルーツ  2015年4月23日

つい2日ほど前、一関市舞川(相川地区)に点在し、先祖伝来の土地を受け継ぐ23世帯、私ども伊藤家総本家の伊藤達朗(73)さんが、地元紙(岩手日日)の表紙を飾った。
昨年の1月、一関地方、東磐井地方の両森林組合が合併し、初代の組合長として2期目に入る。
合併後の初年度経常利益は3800万円余りと、公益を念頭に置く経営体としては堅調な歩みを示し、安定した経営内容の様子である。

一関地方森林組合が管理する経営森林総面積は5万7270ヘクタール、組合員数8504名、組合員資本(出資金)
4億7098万円は県内第1位、東北では3番目となる東北屈指の規模を誇る森林組合だ。
近年のグローバル化の波に押され、安価な外材の輸入にともない、日本産木材の価格は下落の一途を辿っている。
今現在東京ではTPP交渉の閣僚協議が侃侃諤諤、喧喧囂囂と進められている最中だが、輸入自由化が更に進めば、木材の更なる下落が懸念される。

そのことにより、林業に対する経営、或いは勤労意欲が薄れ、森林の荒廃が更に進むことは想像に難くはない筈だ。
そうなると二酸化炭素の吸収に影響を及ぼし、地球温暖化に更なる拍車をかける結果となり得る。
そればかりではない。森林の保水力といった点に大きなダメージを与えかねないことは極めて重要な点だ。
即ち、大災害に繋がる可能性があるのだ。昨今の異常気象に伴い、局地的に大雨となるゲリラ豪雨が、山林の上流部を襲った場合、保水力を失った森林では歯止めが効かなくなり、超大型の土石流が発生する可能性がある。
大量の土砂を含んだ鉄砲水が、轟音を上げながら下流部を襲い、そこに暮らす人々の尊い命を奪う結果となる。

資本主義社会の弊害(?)とでも云うべき昨今のグローバル化が、我々人類の営み、経済活動の全てであるかのような認識がまかり通る今の世だが、人間が人間として、生きる上での基本的理念に立ち返り、ローカリズムの良さを再度見直し、バイオマスの好循環を生むなど、エネルギーの更なる見直しを図り、改めて里山資本の有益性や有利性を見直して欲しいものだと痛切に願っている。

因みに、伊藤達朗さんの祖父・伊藤新右衛門翁(故)は、土地の所有者でもあったことから、昭和20年代にオープンした東光デパート(一関市大町)の創業者であり、今から900年ほど前の平安時代、平泉を中心に栄華を極めた奥州藤原氏の流れを汲み、達朗さん自身のことも、文藝春秋(2012年4月号)に一関の大地主として紹介されている。
現在は冒頭に記したように、一関地方森林組合の組合長の他に、季節になれば500種6万株(以上)の紫陽花が咲き誇るみちのくあじさい園の園主として、また、6次産業を意識し、平成21年に「みちのくあじさい加工組合」を発足させ、ブリザーブドフラワーの製造販売も手掛けるなど、延いては地元の雇用創出にも大きく貢献している。

※東光デパートは、一関では千葉久、福原の三大百貨店の一角として、昭和30年代から40年代初頭にかけて賑わっていたが、昭和42年12月に火災に遭うなど、経営が厳しくなり11年後の昭和53年に閉店となった。
その後残されたビルは八戸市の老舗百貨店の三春屋、次にダイエーと入居したものの、郊外型ショッピングセンターの台頭もあり撤退を余儀なくされた。現在はビル4Fには「FMあすも」、3Fは一関公民館、1Fには新鮮館おおまちが入る「なのはなプラザ」と改名し、一関市民の憩いの場となっている。

※みちのくあじさい園の種類や株数について、2016年6月25日の地元紙には、500種6万株と紹介(年々増えている) されている。

 


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