エッセイコーナー
186.迫る第37回西行祭短歌大会  2016年4月25日

岩手県西磐井郡平泉町の中心部から、弓弭の泉を源とする一級河川、流路延長249km、流域面積10,150km2の北上川を挟んで東側に、風光明媚な足引の稜線が印象的である束稲山(たばしねやま)が見える。その束稲山の7合目付近に、今の季節、薄紅色の広がりが目に留まる場所がある。
オオヤマザクラなど100種3000本余の桜が咲き誇る「西行桜の森」である。
勿論、今から900年ほど前の平安時代、西行法師が仏道と歌道を極めるべく歌枕探求の途に就き、当時奥州藤原氏が栄華を誇る奥州平泉を訪れ、「ききもせずたばしねやまのさくら花よしののほかにかかるべしとは」と詠んだように、束稲山に咲き誇る桜の花群に感嘆した当時の山桜とは異にするが、後に育てられた桜が今見頃を迎えている。

西行法師は2度にわたり奥州平泉を訪れ、数首の和歌を残している。
なかでも奥州藤原氏2代目当主基衡公の好意により、その舘に滞在していた折り、陸奥国に流罪となったある僧と出逢った。西行法師が今の都の様子を話して聞かせると、その僧は涙を流して都を懐かしだとのことだった。
その様子を詠んだ和歌が、
「涙をば衣川にぞ流しけるふるき都をおもひ出でつつ」と口吟んだ。
また、仏道と歌道修行のひとり旅は、孤独であり、命がけの辛く厳しい日々であったに違いない。
「常よりも心細くぞ思ほゆる旅の空にて年の暮ぬる」と詠んでいるのが印象的である。

その西行法師を偲び、天台宗東北大本山「中尊寺」では、毎年桜の咲く頃に短歌大会が開かれている。
今年は短歌結社「塔短歌会」の吉川宏志氏を選者に招き、今週の4月29日(金)、中尊寺本堂裏手の大広間を会場に行われる。因みに私の役割は受付係。本堂前の仮設テントの下で諸先輩方をお迎えする係となったが、ふてぶてしい態度を慎み、図体をできるだけ小さくしながらお迎えしたいと思っている。

第36回西行祭短歌大会の様子
第35回西行祭短歌大会の様子
第34回西行祭短歌大会の様子

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フォト短歌「千年桜」    



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