エッセイコーナー
238.第38回西行祭短歌大会  2017年4月29日

本日、選者の栗木京子先生を迎えて第38回西行祭短歌大会が平泉の中尊寺で行なわれた。
いつもは、本堂裏手にある本坊大広間にて行なわれていたが、改修工事の為に本堂で行うことになった。今回も多くの参加者のもと、厳かに、そして楽しく行われた。

例年通り、午前9時より西行法師追善供養が本堂で営まれ、同寺山田貫首のご講話を頂戴し、栗木先生の記念講演が始まった。
演題は「西行の旅の歌」
西行法師の詠歌9首の他、西行のことを詠んだ佐佐木信綱、塚本邦雄ほか4名の歌を紹介され、西行の人気の秘密を紹介してくれた。
また、「風になびく富士の煙の空に消えて行くへも知らぬわが思いかな」(新古今和歌集)の一首では、当時、富士山の火山活動が活発であったことなど、歌は当時の状況を知る上で貴重な情報手段であることに触れた。

西行が2度にわたりみちのくに赴いた折、唯一足を運ぶことが叶わなかった秋田についての無念さを詠んだ、前回選者として来平した吉川宏志さんの歌も紹介してくれた。
私は今回も受付担当だったことから、途中からの受講で、全てを聴講でくなかったことが悔やまれるが、今まで知り得なかったことを知ることができ、心より感謝したい。
その後、応募された作品138首(欠席者の分は抜く、詠草のみを含めると162首)を一首一首、栗木先生のお人柄が滲む温かみのある懇切丁寧な講評を頂戴した。

入選作品は次のとおり
<中尊寺貫首賞> 奥州市の遠藤カオルさんが受賞
作品:こんなにも太き指かと盲ゆく父の手つつみ湯呑み握らす

<平泉町長賞> 宮城県の千葉秋夫さん
作品:人生が削られそうだと六年を経し仮設舎の老女がつぶやく

<平泉観光協会長賞> 一関市の吉田英子さん
作品:吹き暴れの真菰の根を漁る白鳥七羽泥まみれなり

<岩手日報賞> 滝沢市の山口明子さん
作品:ライナーを鋭くキャッチして笑ふ不登校の殻脱ぎし少年

<IBC岩手放送賞> 北上市の熊谷一代さん
作品:二百余のわらじ納めきし葬儀社のわらじはきおり 叔父の旅立ち

<岩手日日新聞社賞> 盛岡市の照井方子さん
作品:日に照らふ林縁あゆめば三月の枝の呼吸のきこゆるごとし

佳作受賞者は
神原 猛さん(北上市)
佐藤政勝さん(一関市)
千田庄子さん(奥州市)
千田正平さん(花巻市)
三浦公朗さん(花巻市)
野坂次郎さん(盛岡市)
佐藤怡當さん(北上市)
鈴木幸子さん(一関市)
がそれぞれ受賞された。

今回最高賞の中尊寺貫首賞を受賞した遠藤カオルさんの一首は、父上様への愛情がひしひしと伝わり、心にジンとしみてくる歌で受賞は納得である。
遠藤さんの歌は家族詠が多く、私もファンのひとりとして何度か家族詠にチャレンジしたことがあるが、如何せん、心の優しさや家族に対する思いの深さが違うようだ。

前回最高賞の中尊寺貫首賞だった山口明子(元同僚の奥方)さんも流石である。今回は岩手日報賞を受賞した。
佳作には、游の会でいつもお世話になっている佐藤怡當先生や、当大会でも同じ受付担当の佐藤政勝さんも受賞された。

最後の総評では、今回の詠草の中で恋歌(相聞歌)が一首もないことに触れ、残念がっていたが、この地はシャイな人間が多い。たとえ詠んだとしても出詠はまず無理かと思う。
若い頃の私なんぞは殆どが相聞歌ばかり。勿論世間に披露したことはない(筈)。栗木先生が触れた恋歌の有無に会場は一頻り沸き上がったが、おそらく、諸先輩方も皆私と同様ではないだろうか。
ただ、一度ぐらいはチャレンジしてみても・・・。

因みに私の作品は↓

フォト短歌「雪掻き」 栗木京子さんのサイン  

表彰式やその他の写真>>


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