エッセイコーナー
375.郷桜  2019年4月23日

4月13日の種まきから育苗期で3泊4日、ハウスに移してから6日目を迎えた稲苗。今のところ順調に育っているようだ。
お田植えの予定は5月12日だが、果たして順調に行くかいかぬかは稲神のみが知っている。

漸くここ岩手県南地方も桜が満開となった。我が家は染井吉野が4本、八重桜を1本、近所でも桜の樹を何本か所有しており、その桜も一斉に開き賑わっている。郷山が笑っているかのようである。
ニュースではかなり以前から、「どこどこで5部咲きだ」とか、「あそこでは満開だ」とか、毎日のように桜の映像を目にしていると、感心が若干薄れていた。しかしながら実際咲いた桜を目の前にするとやはりいいものだ。
桜の咲く頃は田圃仕事も忙しくなる。時折花に目を向け、癒やされながらトラクターに乗っていると、時間が立つのもつい忘れてしまう。もっとも仕事に行かなければならないので忘れちゃ困るが・・・。

今から900年程前、ここ岩手県南に訪れた西行法師が、きゝもせず束稲やまのさくら花よし野のほかにかゝるべしとは
みちのくの束稲山の桜花吉野の山にかかる志らくもと詠んだ二首を思い出す。平泉町の高舘から北上川を挟み、東方に目を向けると、当時、1万本の桜が束稲山一面に咲き誇っていたと云われている。
吉野の桜に劣らぬ程の束稲山の桜を見て、その詠嘆を三十一文字に込めたものだが、900年の時を経た今でも、景観の美に対する思いや、感慨は共鳴するのではないだろうか。
思弁かもしれないが、「時空を超えた空間を共有している」と云っても差し支えないのではないだろうか。
その西行を偲び、6日後の4月29日、中尊寺本堂を会場に追善供養、そして第40回中尊寺西行祭短歌大会が行われる。
不肖私も今回、司会進行役と云うことで、大役に緊張しながらも薬医門をくぐろうと思う。


フォト短歌「クチクラ」 フォト短歌「白き山並み」


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