エッセイコーナー
761.責任と節度ある積極財政「聖帝の世」  2022年12月17日

聖帝とは、儒教で聖人とされる君主のことを云うそうだが、今から1700年程前、民衆は貧困に喘ぎ、満足な食事を取ることも出来ずにいたとのこと。
その為、家々の煙突から煙が立ち昇っていない様子に、当時の帝、仁徳天皇がそれ以後3年間、課税と労役を全て取り止めることにしたのだそうだ。
更に自ら、お宮の屋根が壊れ、雨漏りしても直すこともせず、雨漏りのしない場所に避難して暮らしていたのだそうだ。
それから3年後、家々の屋根から煙が立ち昇り始め、家臣らから課税の再開を要求されたそうだが、それどころか天皇は延期を指示し、10年後に漸く課税を再開することにしたのだそうだ。

実に有り難いことである。それらの臣民に寄り添い、大切にする篤行を称え、「聖帝」と呼ばれるようになったとのことである。
今、コロナ禍に喘ぎ、嘆き、苦しみながらも我々一般国民の多くは爪に灯りをともしながら日々の生活を送り、将来に希望を見い出せない状況にありながらも必至に生きている。
そんななか、防衛予算の拡大をめぐり、「国防の為には国民の負担が当然だ」とする意見が一部の政治家から聞こえてくる。如何にも正論らしき意見だが、そもそも、貨幣観の過ちから齎された思い遣りに欠けた言動である。
世界恐慌などの教訓から、1942年、物価安定や経済成長、雇用改善や国際収支の安定などを目指し、日本銀行法によって管理通貨制に移行してから既に80年も経っている。

国のみが許される通貨発行権により、国債を発行し、国の子会社である日銀の償還により自国建ての通貨はしっかりと管理出来る筈だ。
国家予算の不足分は国債発行によって補い、ダブついたら金融政策によって回収し、それでもダブつきが解消されない場合は課税負担割合を増やせばいい。
云わば税は、スタビライザー的役割であっていい筈だ。

とは云え、積極財政による国債発行は勿論、「節度」が必要である。
ハイパーインフレを防ぐ上でも、積極財政に於ける「節度」は、GDPの2%程度の上昇を基準とするのが妥当だ、とする専門家の意見に賛同する。
ウクライナ危機や隣国の脅威に備える為にも、専守防衛に特化した防衛増強は必要不可欠と考えられるが、それについても、専門家の意見はGDPの2%程度とする意見に賛同する。
但し今回の防衛費拡大について、岸田総理の増税発言には賛同しかねる。
況してや復興財源からの充当は、延期しようがすまいが、復興に向けての国民の意思を踏み躙る信じ難い愚考であり、蛮行と云わざるを得ない。

東日本大震災復興の為として、平成23年12月2日に公布された復興税自体、本来なら国債で賄うべき間違いを、防衛予算にとは・・・。間違いに、更なる間違いを重ねてどうするのか。
ザイム原理主義者やザイム真理教徒らは、更なる国債発行は将来世代に借金を残すので賢明でないと、決まり文句のように繰り返すが、物々交換時代の旧態依然とした認識や、金本位制当時の貨幣観を未だに引き摺っているからではないだろうか。
岸田総理得意の「聞く力」をもって、賢明な助言者の声に耳を傾け、30年も続いたデフレから一刻も早く抜け出し、我々一般国民の将来不安を解消するようただただ願うばかりである。
その為にも、防衛予算の捻出云々で時間を費やすより、世界で日本のみの国債60年償還ルールの撤廃や、トリガー条項の凍結解除等々、近々の重要な課題が他にもある。徹底的に、早急に議論していただきたい。


フォト短歌「白鳥よどこまで行くの」 ■□2021年8月26日 自民党総裁選立候補表明
11:14頃から、総裁選にあたって3つの約束を唱えた。
1.民主主義を守り抜く為に、国民の声を丁寧に聞くこと。
2.個性と多様性を尊重する社会を目指す。
3.皆で助け合う社会、人の温かさが感じられる社会を目指す。
政策面では、国民の生活を守り、国民の所得を増やしていく為に3つの政策を約束する。
1.コロナ対策として、ワクチン接種率向上や支援の充実ほか。
2.新自由主義から脱却して、成長と分配型の新しい資本主義の構築。
  令和版所得倍増を目指す。
3.外交安全保障。自由・民主主義・法の支配・人権を守り抜く覚悟が必要。     岸田総理への意見BOX

 


≪return    Tweet   
 スポンサード リンク (Sponsored Link)
  注:当サイトは著作権を放棄しておりません。引用する場合はルールをしっかりと守るようご注意願います。