エッセイコーナー
19.本当の幸福とは  2010年4月30日

国家の政策として「幸福感」を取り入れる動きが出てきているという。嘗ての自民党政権下では考えられない発想だ。
実に建設的で前向きな発想であると言えるのではないだろうか。
しかしながらひと言で『幸せ』と言っても、人それぞれ感じ方も千差万別である。「豊かさイコール幸福」かというと必ずしもそうとは限らない。いくらお金があったとしても、心の豊かさを感じること無く、精神的に病んでいる人達は大勢いるのではないだろうか。

「幸せだ」と、答えた人が90%以上もいるブータンの首相は、GDPの尺度で計ることへの警鐘を鳴らし、精神的、心理的、情緒的なものが非常に重要であると語っている。
「お金がないと、まともな生活は出来ない」確かに現実を直視するとその通りかもしれない。
ブランド品を身につけ、豪華客船で世界一周を楽しみ、マグロのトロをたらふく食べたい。
そんな願望を叶えるにはやはりお金が必要である。
さもなくば、軽犯罪に手を染める以外に方法は見つからないのかも知れない。

こういった願望は、資本主義の下で、物欲や金銭欲をあまりにも追求し過ぎ、行き過ぎた市場原理主義に翻弄された結果の副産物なのかも知れない。
更には、勝ち組・負け組みといった二極化を生み、富裕層と貧困層を益々助長させたのも現実である。
即ち「お金があることイコール幸福である」と、錯覚するようになったのではないだろうか。

しかしながら本当の意味において、「幸せ」とはお金で買えるものなのだろうか。
所謂、真の幸福感とは、物質的な豊かさではなく、人と人とが支えあい、助け合うことによって生まれ、精神的な豊かさを感じることにより、幸福感がもたらされるのではないだろうか。
国や地方自治体の政策においても、決して押し付けの幸福論ではなく、社会保障の充実は大前提だが、我々国民や県民が自発的に「幸福感」を持てるような、環境作りが求められるのではないだろうか。

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