エッセイコーナー
37.善意と真意のすれ違い    2011年7月31日

「よかれ」と思ってやった事が、かえってその人にとって迷惑だったりする事が往々にしてある。
ボランティア活動もその例外ではない。
昨日の被災地でのボランティア活動での出来事だった。
そこは大津波により、1階部分全てが浸水したにも係わらず、幸いにも1本の柱のみが損傷を負ったものの、残りの柱は奇跡的にも無事だった。2階部分は殆ど無傷の状態のようだった。
その為、被災者の家主さんは、建て替えよりも改修して住む事を選んだようだ。これと同じケースは無尽蔵にある。

新築するとなると、全てを失った被災者の方々にとってはあまりにも経済的負担が大きい。少しでも経費削減を図らなければならない。
そんな事情からボランティアセンターに依頼し、床下の泥出し、壁や床剥がしを依頼し、全国から集まったボランティアがその場で作業に取り掛かる事になる。
我々もボランティアセンターの指示に従い、作業をやっていると、「今、皆さんが壊している部分は後回しにした方いい」と後から加わってきた年配の方から促された。
果てさてどうしたものかと迷っていると、その理由を丁寧に話してくれた。

それによると、壁や天井など剥がし易いところからただ単純にやるのではなくて、家屋の復旧作業には手順があり、また、リフォームするにあたり極力経済的負担をなくす為にも、再利用できるものは極力残すようにと教えてくれた。
我々素人にはその判断が難しいので、「壁を壊してくれ」と言われればその通り壊し、「床を剥いでくれ」と言われればがむしゃらに床を剥ぐ。しかしながら、その手順を間違える事によって、改修する為の手順が変わり費用が膨らんでしまう結果となる。
結局は被災者である家主さんへの金銭的負担が増すばかりだ。

「それでは駄目だ」とプロの建築家が名乗りを上げ、実際に被災地に入り指導をかってでたというのがその真相であった。因みに、後から来て色々指示していった年配の方は、神奈川県で工務店を経営し、NGO団体日本国際民間協力会(NICCO)に所属しているとのことだった。
では何故最初にボランティアセンターで適切な指示を出さないのか確認してみると、ボランティアセンターでは、このような民間団体の協力を受け入れようとしないとのことだった。確かに、営利目的であれば考えてしまう。

しかしながらよくよく聞いてみると、全くのボランティアであって、「決して営利目的の為にやっているのではない」と無念そうに話していた。
「民間企業や団体が入る」と聞くと、色々勘ぐりたくなるのが常だが、これもまた「下衆の勘ぐり」と言えるのかもしれない。ボランティアセンターが拒否する理由の一つとして、その事があるのかもしれない。
結局我々素人は、作業手順を大幅に変え、その指示に従う事にした。
誰の為の、何の為のボランティアかを改めて考え直す良い機会でもあった。
ボランティアセンターの方々も色々大変だろうと思うが、被災者への繊細な心配りを、改めて考え直して頂きたいものだと思いながらボラ活現場を後にしたのだった。

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