エッセイコーナー
638.第50回全日本短歌大会結果及び第43回中尊寺西行短歌大会開催のお知らせ  2021年11月9日

昨夜自宅に戻ると、現代歌人協会から郵便物が届いていた。
現代歌人協会主催による第50回全国短歌大会の入選歌を収めた選歌集が同封され、早速ページを捲ると全国短歌大会賞2首が掲載されていた。今回の応募数は2139首とある。

全国短歌大会賞
マスク生活二年目に入り子どもらの眉濃くうごく夏がまた来た   岡本和子(東京都東山村山市)
同じく大会賞
もう君のオルフェでなくて振り向けばどの花野でも一人だと知る  小林菫子(市川市東国分)
朝日新聞社賞
ウイルスに負けてもいいよ十字架の赤いネオンは月へ触れそう   尾内甲太郎(浜松市南区)
学生短歌賞
不揃いの野菜は安く売られおり心臓のようなトマトを握る     庄野酢飯(豊中市待兼山町)

続いて選者10名(奥田亡羊・楠誓英・栗木京子・黒瀬珂瀾・小島なお・坂井修一・冨田睦子・内藤明・東直子・渡英子)による選者賞が載っていた。
ページを捲っていくと、16ページに私の名前が見えた。富田睦子選の佳作にありがたくも入選していた。
カルトンを鳴らす新米つや増してその艶はみな汗の輝き
その直ぐ隣には、高校時代同じ応援団リーダーとして、発声練習やタクト練習に汗と涙の過酷な練習を共に耐えた高校らいの友、菊田顕君の一首もあった。

地方の短歌大会では選者一人のところが多く、同じ様な歌風の歌が入選する傾向にあるが、選者の殆どが結社を異にする為、結社の枠を越えた自由度の高い寥廓たる選定がありがたい。
私の一首への、富田さんの選評に「弾むような調べが清々しく、労働の尊さ、充実感の明るい一首」とある。
実にありがたい。

私はコメの生産者であると同時に、一等米、二等米などの判定を下す検査員でもある。
カルトンとは検査の折、抽出した新米を黒色や白色のカルトンに並べ、青未熟粒や白未熟粒、着色などの被害粒や形質を審査して等級を決定する。
生産者が泥に塗れながら大事に大事に育てたおコメが、検査日を迎え、カルトンに並べられ、秋の斜光が射すと更にその艶や輝きが増すのである。
今年の米価は極端に下がり、検査を進める度に複雑な思いでカルトンを鳴らしたのだった。

本日、中尊寺光勝院を会場に、令和4年度、第43回中尊寺西行祭短歌大会の準備委員会が開かれた。
コロナ禍のもと、ここ2年程通信歌会などで正規の大会が開けなかった。通常は4月開催だが、来年は開催期日を変更して9月に、通常通りの内容で開催することに決まった。
選者や正式な日程など決まり次第当サイト等で紹介したい。


フォト短歌「中尊寺の小池」  

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