エッセイコーナー
828.第62回平泉芭蕉全国俳句大会  2023年6月30日

昨日、中尊寺光勝院を会場に第62回平泉芭蕉全国俳句大会(主催:平泉町ほか)が開催された。
僭越ながら私も拙句を投句しており、丁度2ヶ月ぶりに会場を訪れた。
生憎の雨とあって出席者も少ないのではないかと思われたが、予想よりも出席率が良く満員御礼状態だった。

私も詩歌愛好家のひとりとして、詩的な韻律に若い頃から心惹かれ、駄作ばかりだがよく作っている。
特に詩や短歌に重きを置いてはいるが、俳句も都度作っている。
短歌の上の句に俳句を意識して詠むことも多い。
但し大会等にはあまり興味がないので、殆どはRAMの中にしまい込んでいるが、地元平泉で開催される今回の芭蕉俳句大会や、同姓のよしみでたまに伊藤園主催の俳句大会にも応募することがある。
幸いにも第27回伊藤園 お~いお茶新俳句大会では佳作特別賞を頂戴し、ペットボトルに私の一句が印字されたこともあった。

そんなこともあり、地元主催の平泉芭蕉俳句大会には極力参加するよう心懸けている。
今回も応募句3句、当日句も2句提出した。
近年コロナ禍の為、ここ3年程会場での大会開催は厳しかったが、丁度2ヶ月前の4月29日も当中尊寺光勝院で中尊寺西行祭短歌大会が開催されたが、今回も開催されたことは大変喜ばしいことである。
ただ今回は中尊寺西行祭短歌大会とは打って変わり、一般参加者としての出席であり、非常に気が楽だった。
のんびりとした気分で参加できることに、安堵感を覚えつつ、感謝しながら会場へと向かった。

特別講演として、宮城県塩竈市出身で「小熊座」元編集長の渡辺誠一郎先生による、2020年発刊の著書『俳句旅枕 みちの奥へ(コールサック社)』の視座を演題とする講演があり、芭蕉や子規、碧梧桐や青邨、兜太などの足跡を辿り、みちのく物語りとしての奥州紀行を綴った内容に触れた。
また、東日本大震災から12年、震災詠を取り上げながら当時の惨状にも触れたが、日本のジャーナリズムの始まりが明治29年の三陸大津波だったことを初めて知った。

当著のあとがきには、「新型コロナウイルスの感染の終息を祈って」との文言で締めくくられているが、沖縄では第9波による医療機関の逼迫を懸念する声が聞こえる。
再び外出の自粛が叫ばれるような事態にならないことをただただ祈るばかりである。

◆大会結果(上位入賞のみ)◆

大会長賞 当日句特選一席 青葉闇抜けて浄土や光堂   岩渕眞理子(平泉町)

渡辺誠一郎先生選
 特選(天)   草いきれ不意に濃くなる蝦夷の血   加藤健一郎(青森県)
 特選(地)   古代蓮一花のなかにある浄土     三島黎子(紫波町)
 特選(人)   たんぽぽを摘んで母から離れゆく   小野寺束子(一関市)
白濱一羊先生選
 特選(天)   人を待つリラの匂ひの濃きところ   宍戸幸江(大崎市)
 特選(地)   落し文いくつも拾ふ義経堂      小栗不死実(一関市)
 特選(人)   旅終へしごとふらここを降りにけり  郡司山吹(奥州市)
小畑柚流先生選
 特選(天)   古代蓮一花のなかにある浄土     三島黎子(紫波町)
 特選(地)   旅人と呼ばれ一夜の春惜しむ     西 史紀(長崎市)
 特選(人)   蛍火は武者らの魂か古戦場      岩谷塵外(秋田市)
小林輝子先生選
 特選(天)   黄蓮の花の瞬く蓮台野        岩渕洋子(平泉町)
 特選(地)   藤原祭馬の尻尾を三つ編みに     岩渕洋子(平泉町)
 特選(人)   哭まつり散華ひらりと燕来る     中村セイ子(奥州市) 
照井翠先生選
 特選(天)   炎より生れし浄土や松の芯      佐藤光枝(一関市)
 特選(地)   鷹鳩と化して戦禍の地を目指す    兼平玲子(盛岡市)
 特選(人)   涅槃図の嘆きに吾も入りたく     佐藤年末(奥州市)
成田一子先生選
 特選(天)   金鶏山もろとも雉のほろろ打つ    岩渕正力(奥州市)
 特選(地)   新しきみちのくへまた耕せり     佐々木克狼駄(大崎市)
 特選(人)   百才の選ぶいろいろ種袋       渡部容子(一関市) 

尚、当日句の白濱一羊先生選第一席(岩手県知事賞)には、奥州市の羽藤焼石(岩手県南短歌会会長)さんが受賞した。
  ー 沙羅の花いつも淋しい耳のうら ー


フォト俳句「かわず3匹」 フォト短歌「伊藤園俳句」  

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