エッセイコーナー
283.AI搭載のオートカー実用化に期待!  2018年1月13日

また、痛ましく、そして何とも切ない事故があった。
1月9日の午前8時半頃、群馬県前橋市の県道で、乗用車が対向車線を逆走し、路側帯を自転車で走っていた女子高生2名を跳ね飛ばした。2名とも意識不明の重体と云う悲しい交通事故だった。
加害者の運転手は85歳の高齢ドライバーである。

昨今、高齢者の運転ミスが急増している。
以前はそれ程無かったように思うが、一体何が原因なのだろうか。
齢を重ねるとともに、注意力の散漫や運動神経、特に反射神経が鈍くなってくることは厳然たる事実。誰しもが避けて通れない道である。
ただ、これは昔も今も同じ。
では何故ここにきて急増しているのだろうか?

おそらくそれは車の機能の進化によるものではないだろうか。
以前はマニアル車のみだったが、今はオートマ車が主流である。
マニアル車であれば、スピードを上げる為にはギアの切り替えが必要となる。しかも左足でクラッチを踏まないとギアが入らない構造になっている。ローからセカンド、サードからトップへと。
もし、ローギア(低速)の状態からいきなりトップに切り替え、スピードを出そうとしてアクセルを踏み込むと、ガクンガクンとノッキングした挙句、エンスト、つまりエンジンが止まってしまう。

だが今の主流はオートマ車だ。
ドライブレンジの状態でアクセルを踏み込むと踏んだ分だけスピードを増し加速する。エンストすることもない。
しかも足の操作は右足のみだ。
確かに、凍結した路面、特に下り坂などではその効果を発揮するなどのメリットはある。
現在高齢者となり、事故を起こしているドライバーは、前者のマニアル車で育っている。

私が思うに、高齢者ドライバーの事故原因と睨んでいるのが、オートマ車の利便性に起因しているのではないかと思っている。また、右利きの場合、右足のみの操作は左脳への刺激を促すが、直感やひらめきを司る右脳への刺激を促さない。
便利になることは至極結構なことだが、道具の発達に伴って逆に人間の運動神経などが後退しているのかもしれない。
そんなこともあって、年齢を重ねるに連れて右脳は衰え、事故を起こしやすくしているのではないかと私は考えている。事故を起こした高齢者ドライバーを調査すれば、おそらくそんな結果が出るのではないだろうか。

原因がどうあれ、「高齢者は免許証を返上すべきだ」と云う声が多く聞かれるが、しかしながら一概に、単純にそう云い切るのも感心はできない。
交通の便の良い都会なら問題はないだろうが、車がないとどこにも行けない田舎は物凄く不便なのだ。

かく云う私も田舎に住んでおり、車が運転できないと不便極まりなく、大変なことになりそうだ。
私の父は米寿間近ながら車を運転したがる。しかしながらその都度なだめ、運転させないよう努めている。以前は病院や買い物に母を同乗させながら父が運転していたものだが、ここ1・2年は運転を控えさせている。
しかしながら実情としては、運転をせざるを得ない状況にある人たちが多いと云う現実を、理解してもらいたい。

その解決策としては、国や地方自治体による福祉バスなどの送迎手段の確保に期待したいところだが、各自治体によって懐事情や取り組む姿勢も様々だろう。
残された方法は、高齢者でも安全に運転できる自動車、安全性を最重視したAI搭載のオートカーを、一刻も早く、しかもリーズナブルな価格で世に出して欲しいと、切に願っている。


フォト短歌「マイナス12度」  


≪return    Tweet   
 スポンサード リンク (Sponsored Link) >