エッセイコーナー
85.オタクサ「みちのくあじさい園」  2014年7月22日

あじさいには、「辛抱強い愛情」という花言葉がある。
それは、高野長英や二宮敬作らの蘭学の師であり、長崎出島のオランダ商館医だったシーボルトが、日本滞在中に娶った妻の楠本滝(通称お滝さん)を残し、祖国ドイツに帰国した。その際に、日本の生物や植物にも関心を持っていたシーボルトは日本固有の植物なども持ち帰った。
そのなかにガクアジサイがあり、名前を「オタクサ」として紹介した。

一説によると、「オタクサ」は日本妻の「お滝」をもじって名付けられたと云われている。
シーボルトは、日本地図を海外に持ちだそうとして国外追放(シーボルト事件)を余儀なくされ、二度と戻れぬ(実際は、鎖国解消後に再来日している)寂しさから、お気に入りのあじさいに彼女の名前を付け、偲んだのではないだろうか。
滝に対する「辛抱強い愛情」や、積年の思いをそのガクアジサイに見出そうとしたのかもしれない。
なんとも切ない、愛や情を連想させる花言葉であろうか。

岩手県一関市舞川の「みちのくあじさい園」では、3百種3万株を優に超す「オタクサ」の見頃が、まだまだ続いている。園内の遊歩道はウッドチップが敷き詰められ、歩きやすさが考慮されている。また、足の不自由な方やご高齢者の為に、乗用カートも用意されている。    
また園内には、冷やしおろしうどんやおそばなど、昼食の取れる紫陽花山荘があり、園主の伊藤達郎さん宅にあった土蔵を移築した喫茶「蔵」では、こだわりのコーヒー(アイスコーヒー)が堪能できる。
また、イベント広場にはラーメンやかき氷などが人気の茶店「一休」があり、休憩所やトイレなどが所々に設置されており、付帯施設も充実している。

今年の閉館日は7月31日(木)。あと9日で見納めとなるが、杉木立に流れるさわやかな小風を肌で感じ、競演する色とりどりの紫陽花の魅力をたっぷりと堪能してみては如何だろうか。

あじさい園マップ


※当よろづの遊び場で、以前(2014年1月9日 )紹介したみちのくあじさい園に関する記事 精神性の安定

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