エッセイコーナー
636.髑髏島を目指して  2021年11月3日

秋になるとどうしても行きたくなる場所、見たいフォトジェニックなスポットがある。
一昨日、その場所、「猿岩」に行ってみることが出来た。
今秋も時間の調整が難しく、少々出遅れてしまったようで紅葉の最盛期は既に過ぎていた。

岩手県南部の奥州市胆沢町若柳地区に、国内最大級の胆沢ダムがある。
1億4,300万立米の貯水量を誇る全国屈指の巨大ロックフィルダム。
そのダム湖の中流部南側に、陽が上ると湖面に巨大な影を落とす岩山が聳えている。それが猿岩である。
標高約500メートル。石英安山岩質凝灰岩の一大岩峰で、頂上部には猿岩神社が造立され、霊峰として地元民に親しまれている。
私にはその様相がキングコングとダブって見え、春には新緑に包まれた「緑のキングコング」、そして秋には横たう「赤のキングコング」として観光客を魅了してやまない。

私は映画のキングコングが大好きで、あの世に行ったら髑髏島に行きたいなどと思ったりするが、横たうキングコングの眼差しは、髑髏島か或いは西方浄土か、西の方角に目を向け、たじろぎもせず目を見開いているようにみえる。
もっとも「たじろぐなどあろう筈はないが・・・」
「たじろぐ」「ぶれることなく」などと云えば、政治家の謳い文句の一つだが、第49回衆議院議員総選挙も無事に終わった。自民党が絶対安定多数の議席を単独で取る結果となったが、コロナ禍で苦しむ国民は改革よりも安定を求めた結果であろうか。

今回の選挙は特に、世代交代を意識した選挙であり、政界の大物が破れるなどの波乱もあった。
ある元総理経験者の地元で、嘗ての部下が党を乗り換えて出馬した選挙区もあったようだが、元総理経験者の心情はいかばかりか。幸い有権者はしっかりとその心情を汲んでか、元総理経験者は無事に当選した。
仮に元総理経験者が落選し、一種の裏切り行為ともみえる後者が当選したとしても、「因果の法則」によっていつかは同じ様な目に遭うのは明らかであろう。
同じ様な境遇が、現在身近でも見舞われているだけに、元総理経験者の穏やかでない心境がひしひしと伝わり、理解できる。そのことは他人に対する示唆のみならず、自分への戒めとして肝に銘じたい。


フォト短歌「赤きコング」



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