エッセイコーナー
587.働き詰めであの世まで  2021年4月26日

今月より、高齢者雇用安定法の改正により70歳就労法が施行された。
少子化などにより、年金財源の減少が主な理由と考えられるが、果たしてそれが正しい答えなのであろうか。
確かに平均寿命も伸び、最近の先輩方は元氣なように見える。
一億総活躍社会の大義を掲げ、高齢者への就労意欲の喚起は、決して悪いことだとは思わない。実際に勤労意欲旺盛な先輩方もいる。
しかしながら総じてそうかと云えば、決してそうではあるまい。

私の知る限りではほんの一握りである。
殆どの先輩方は、今迄身を削り、心をすり減らしながらも一生懸命、誠意を持って忠実に働いてきた。
「もう流石に限界だ」と感じている先輩たちが多いのではないだろうか。
定年後は自分の趣味に時間を費やし、のんびりと余生を楽しみたいと思っているのではないだろうか。
比較的丈夫に動き回れる「健康寿命」は男性で72.12歳、女性で74.79歳と云われている。
定年が70歳となると、健康的に、自由に趣味などを満喫できるのは男性で2年と少し、女性で5年もないと云うことになる。勿論個人差はあり、一概に云えないまでも、「遠からず」であろう。
定年後の余生を楽しもうと必死に頑張ってきた筈が、これでは報われないのではないだろうか。

そもそも何故、定年が5年も伸びたのかと云うと、前述したように少子化に伴い年金財源が減っていることにある。
では、そもそも何故少子化が進んだのか。
それは非正規雇用などによって若い世代が将来に対して不安を覚え、結婚どころではないと思っているからではないだろうか。
ではそのことを解消する為にはどうしたら良いのか。
その答えは決して難しいことではない。
生活の不安を解消し、払拭できれば良いのである。
ではその生活への不安を払拭するためにはどうすれば良いのか。
これもまた簡単なことだ。

緊縮財政をそそくさと止め、デフレから脱却することがその決め手となる。
国が国債を発行して財政出動すれば良いのである。
巷では過剰な権勢を誇る財務省の解体論が飛び交っているようだが、それよりも、国民主権の名の下に、我々国民の代表である筈の政治家がしっかりと威信を取り戻し、正しい方向に導いていただくことを切に願うばかりだ。
今回のコロナ災禍のもと、現代貨幣論の示唆により、財政の真実が白日の下に晒された。「転禍為福」の格言を肝に銘じながら、安心して老後を迎えられるよう願うばかりである。


フォト短歌「財務A」  



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