エッセイコーナー
689.動物由来の新種ウイルス  2022年5月5日

大型クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス(イギリス船籍)が、2020年2月3日横浜港に帰港したあたりから、日本でも新型コロナウイルスが蔓延し始め、3年目に入った今でも、変異株による感染拡大がとどまることを知らない。
新型コロナウイルスの発生源や原因の究明は果たしてどうなっているのだろうか。
色んな憶測を呼んでいるが、一説によると、野生のコウモリがその宿主ではないかと云われている。
野生コウモリが原因と考えられる病原体は、他にもSARSや狂犬病等があると云われているが、コウモリ以外にもマダニを感染源とする新種のウイルスが北海道で発見されたとの報告もある。

マダニとの接触が多い野生動物が人里に下り、人へと感染を拡げているとの研究結果の報告がある。
昔と比べると、野生動物と人間との距離が縮まったことが考えられる。
では何故、距離が縮まったのか。一言で云うと、中山間地での耕作放棄地化が進んでいるからだと考えられる。
「耕作者の高齢化」「後継者不足」などと一言で片付けるのは簡単だが、では何故、後継者不足になるのだろうか。それも簡単な答えである。苦労の割には採算が合わないからであり、誰も引き受けたいとは思わないからである。

日本の農業政策は、勿論悪いとは云わないが、スマート農業など、経済活動一辺倒の大規模営農の推進、促進ばかりである。つまり、平坦地での大規模営農への後押しは積極的だが、小規模営農の中山間地への助成は充分ではない。
世界の先進国では、「国の安全保障上」必要不可欠として食料自給率を上げるため、充分な対策を講じているが、日本の食料自給率はカロリーベースでみると僅か37%(令和2年度)足らず。生産額ベースでみても67%(令和2年度)と、100%には程遠いのが現状である。

このままでは自給率の向上は疎か、100%など到底望めそうにない。益々耕作放棄地が拡がり、野生動物との距離が縮まり、未知の、ウイルスの感染拡大が懸念される。
それだけではない。
中山間地の耕作放棄地化が進むことによって、貯水力を失い、洪水などの水害が増えることに繋がる。所謂自然災害だが、寧ろ人災だと云った方が正しいのかもしれない。
新種のウイルス、新型コロナウイルスで疲弊する昨今、直ちに、真剣に中山間地での耕作放棄地問題の解消に乗り出すべきだと思うのだが・・・。

685.農は国の土台なり  2022年4月19日更新


フォト短歌「焼豚ラーメン」






みちのくあじさい園では、いま石楠花が見頃を迎えている。見学は今月半ば頃迄。


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