エッセイコーナー
843.どうなる財源  2023年8月8日

石油価格が7週連続上昇との記事に、激暑続きの毎日、更に溽暑感が増した。
原因はウクライナ戦争が引き金となったことはご周知の通りだが、それ以上に、新型コロナが5類認定となって以降、経済活動が活発となって原油の需要が高まったことや円高が大きな要因と考えられる。
当初は政府の補助金(石油元売り会社への補助金)によるショックアブソーバーが多少なりとも効いていたように思う。
しかしながら段階的な補助金の引き下げによってその効果が次第に薄れてきている。
本来なら国は大胆な財政出動によって国民の負担を軽減させ、経済の活性化を急ぐべきところを、「財源はどこから?」との声の狼煙があがり、挙句の果てには徴税による財源確保を提唱する緊縮財政論者が息巻く始末である。

金本位制、固定相場制、或いは物々交換時代の財政観、貨幣観から未だに逸脱出来ない論調が跋扈している。
今更だが、現在は世界大恐慌の学びから管理通貨制度を導入して既に80年以上も経っている。国は通貨発行権や造幣権を持ち、円と云う自国建ての通過を発行出来る。国内で発行された円建て国債のうち97%前後は国内で引き受けられ、加えて現在日本の国債残高は2022年11月10日の財務省発表によると993.8兆円。それに対して日本の総資産は内閣府の発表によると1京1892兆円(2020年末時点)。金融資産だけでも8583兆円の資産がある。

財務諸表の詳細に触れるまでもなく、デフォルトの可能性など極めて低いと云わざるを得ない。
とは云え、闇雲な積極財政の結果、市中に円が溢れ過ぎると円の価値が急落し、過剰なインフレ状態にならないとも限らない。
その場合の調整弁として金融政策や徴税によって安定化を図るなど、財政政策による調整が必要となる。
そのことが管理通貨制度に於ける基本的な考え方、スタンスであろうと思う。

財源の正しい解釈として、大いに参考となる『どうする財源』と云う評論家の中野剛志氏の著書がある。
財政観、貨幣観を正す上で非常に解りやすく丁寧に書かれた「垂涎の著書」である。話題の『ザイム神理教』ともども読むと財政の真実が更に理解出来るのではないだろうか。
岸田政権になり、大なり小なり我々一般国民の負担が多くなってきたと思えてならない。
防衛費増税やインボイスによる実質的な増税、少子化対策等々による社会保険料の上乗せなどなど。

2ヶ月ほど前に父が他界し、相続等の手続きに市役所を訪れたが、土地の名義変更で気になる指摘があった。
我が家は本家から分かれて400年ほど経つが、代々受け継いできた田畑を守りながら今に至っている。亡くなった父親名義の土地のみならず、祖父や曽祖父名義の土地もあるが、固定資産税は毎年きっちり私が収めてきた。
全て名義変更するべきなのは勿論理解しているが、代が離れるに連れてその手続も煩雑となり、司法書士などに依頼すれば確かに楽だが、費用が嵩むだけである。

そんなこともあって父親名義の土地分のみを名義変更し、後はそのままにして固定資産税を収めるつもりでいた。
ところが市役所の窓口で指摘されたが、法改正によって全て名義変更が必要だとの指摘に泡を食った。
2024年4月1日より相続登記が義務化され、違反すると10万円以下の過料の対象になるなど、罰則規定もあるようだ。
そもそも空き家問題が発端となって法改正に踏み切ったようだが、であれば家屋のみに適用し、代を越えようが跨ごうが固定資産税を収めていれば、今まで通り何ら問題ないのではないだろうか。

「苛政は虎よりも猛なり」岸田政権になって以来、我々一般の国民に対して、マイナンバーやインボイス、五公五民の苛税など強制的な圧力が知らず知らずのうちに増しつつあるように思えてならない。


フォト短歌「かなとこ雲」


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