エッセイコーナー
236.エヴェレスト「神々の山嶺」  2017年4月13日

開花宣言を発表したばかりの此処岩手県南地区だが、今朝は冷え込んだ。
催花雨ならぬ抑華雪(造語)の影響で、さくら貝の殻が高潮に揉まれて殻をぎゅっと閉めるかのように、桜の蕾も固く閉ざしたかのようだ。
ここ最近、季節の変わり目と云うこともあってか、どうも調子が芳しくない。それに輪をかけて、眼精疲労に伴う肩凝りが酷く、身体の変調に悩まされることが暫く続いている。
そんの状況もあって、パソコンの前に座ることもかなり減っているのが現状である。

その分の手持ちぶたさを解消すべく、他のことに時間を費やすことになるが、真っ先に思い浮かぶのが読書。
しかしながら尚更眼精疲労を悪化させそうだ。では目をつぶってじっとすることは、だが、それも長くは続かない。
寝るのが一番だろうが、寝過ぎもまた、如何なものか・・・。
勿論、趣味の渓流釣りや、温泉にでも浸かるなどしてのんびりするのもいい。兎にも角にも、一番はのんびりと寛ぐことが肝要だと思う。
となると映画鑑賞か!
そんなことで、早速格安日を利用してレンタルショップに走ることにした。
今回は洋画2本と邦画を1本借りることにした。いつもなら洋画のみを借りるのだが、以前から気になっていた岡田准一主演の『エヴェレスト 神々の山嶺』を借りてみることにした。

あらすじは、
山岳カメラマンの岡田准一扮する深町誠が、1924年にエヴェレスト登頂を目指しながら行方不明となったジョージ・マロニーが、エヴェレスト登山史上、世界初登頂となったか否かの証拠を掴む為に、カトマンズに訪れた折、数年前に消息を絶った孤高の天才クライマー(阿部寛演じる)羽生丈二と出逢った。
そこから、前人未到の登攀を通して、大自然の厳しさを目の当たりにするなど、標高5200mでの実際のロケを含め、山の雄大さを遺憾なく画面に展開し、垂直に切り立つ断崖絶壁の南西壁の登攀シーンをリアリティーに映し出していた。
詳細は以下を参照に、
http://everest-movie.jp/about/story

予定では、リラックスすることを目的に、肩肘を張らずにのんびりと鑑賞する筈だったものが、如何せん、迫力満点のリアルな映像に、手に汗握り、益々肩凝りが進む事態と相成った。
無謀とも云えるエヴェレスト南西壁に、果敢に挑み、登頂成功後に力尽きて凍死した羽生丈二(阿部寛)の形相には、何事にも屈せず、絶対に諦めないと云った強い意志と真の強さがひしひしと伝わってくるようで、男のイキザマ、男の在り方として、沸々と沸き立つものを感じた次第であった。

ただ、生徒や教員ら8名が犠牲となった那須町の雪崩事故や、雪山での滑落や遭難事故があったばかりだが、大自然の脅威、猛威を絶対に侮ってはいけない。自然に対する畏敬の念と感謝の念を絶対に忘れてはならない。
過去にあった数多の遭難事故では、捜索中に命を落とした山岳警備隊員らが何人もいた。「自己責任だ」では決して済まされない現実を、しっかりと認識する必要があるのではないだろうか。
肩肘張りながら、肩凝りが進みながらも、『エヴェレスト 神々の山嶺』を観ていて、自然に対する畏敬の念を更に深めたように思う。

また、エンディングに流れるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲第9番は、眼光鋭くして、力みながら、そして精神を張り詰めながら鑑賞していたところを、箍を外すが如く一気に解放してくれ、全身の虚脱感とともに涙腺の崩壊をもたらしたのだった。


フォト短歌「尺余の岩魚」  


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