エッセイコーナー
121.非断捨離的発想  2015年3月3日

昔は「宝食」だった貴重な食べ物が、大量生産の時代に入り、ファーストフード店やコンビニの台頭から、大量消費、飽食の時代と定義されるようになって久しい今日。バブル最盛期より、巷(特に先進国)には食品が溢れんばかりだ。
店頭に並ぶ弁当を例にとると、過当競争の煽りで、他店より優位にたつべく店頭に並べる品数を増やす。
また、それを横目にライバル店は更に品数を増やし、需要を供給が遥かに上回るといった需給の不均衡に陥っている。
すると売れ残ったものは次から次と賞味期限切れになり、賞味期限切れの食べ物は廃棄処分される。もったいない話だ。

どうにかして、そのもったいなさを解消し、有効に利用できないものかと誰しもが思っていることだろう。
そんな折り、ハフポストを覗いてみると、『食品の廃棄物を「社会貢献」で減らす 最大9割引きの通販サイトが打破したもの』とのタイトルに目が奪われた。
賞味期限が間近になった食品などを格安で販売し、更には売上の一部を環境保護や発展途上国の支援にあてられる社会貢献型のショッピングサイトKURADASHIとのことだ。運営はグラウクス株式会社。

何より注目すべき点は、サイトで、累積利用金額に応じた利用者の「社会的貢献度」がひと目で分かるようになっている点だ。また、賞味期限切れの食品の処理にはコストもかかる。それに二酸化炭素も多く排出することになる。
この事業が軌道に乗り、成功することによって二酸化炭素の削減にもつながる。温暖化防止に一役買うことになる。
成功のポイントは、「賞味期限」という消費的慣習に慣れきった我々消費者が、どう理解し、納得するかにかかっているだろう。
また、「物を出してなんぼ」の食品メーカーや流通業者などが、どれ程の理解を示すかだろう。しかしながらこの食品の無駄、非断捨離的な勿体なさは、世界的な共通課題(特に先進国)だけに、消費者が理解し、定着するまで多少の時間はかかるだろうが、決して諦めることなく是非とも成功させ、世界に発信していただきたいものだ。




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