エッセイコーナー
602.他人事、余所事、他所事  2021年7月2日

他人事(ひとごと)とは、「自分とは無関係であり、自分にとって利害関係のない人や場所で起きた出来事などを表現する言葉である。
政治家とは、ブリタニカ国際大百科事典によると、「政治活動に従事する人間で、その知識の広さと洞察力の深さによって、自分が生きている社会の欲求をはっきりと正確に感じ取り、できるだけ衝撃や苦痛を避け、社会の到達すべき目標に導く最善の手段を発見する方法を知っている人物」と定義している。
また、手持ちの広辞苑には「政治的駆け引きが上手な人」ともある。

つまり政治家は、社会の欲求を正確に感じ取り、政治的駆け引きを上手(官庁などとの交渉)に使いながら一般国民を社会の到達すべき目標に導く役目がある。
では、「社会の到達すべき目標」とは何か?
私が思うに、紛争や内乱、戦争のない、誰もが幸せに生活を営み、老後の心配もなく天寿を全うできるような世の中、社会を築き上げることだと思っている。
政治家はそんな世の中を築くための手段を知り、我々万民を導いてくれるものだと私は解釈している。

今現在、新型コロナによって多くの国民が危機に瀕し喘いでいる。
客足が鈍り、已む無く店を閉めざるを得ない店主。それによって失業を余儀なくされる従業員。関連会社の倒産により職を失い路頭に迷う人たち。多くの人たちが新型コロナによって悲惨な状況に置かれている。
なかには、将来への不安はもとより、今日明日の生活に窮し、自裁を選ぶ人たちが後を絶たない。自殺者数をみると、特に若い女性が目立っているようだ。
そんな苦境に立たされ、路頭に迷っている人たちを救えるのは「政治の力」であり、その力を行使出来る政治家の双肩にかかっていると云っても過言ではない。

しかしながら残念なことに、一部の政治家の発言に対して失望感と憎悪の聲が上がっている。
6月26日(土)放送の『激論!コロナ禍の国民生活と日本経済』と云う番組で、ゲスト出演の女性参議院議員(自民党)が、「ロックダウンじゃないから補償はしない」と云い捨てている。
そのことを一議員の「本音」と捉えるよりは、与党、政府全体の聲として捉えるべきだが、国民の窮状を他人事、余所事、他所事としか捉えていないのはあまりにも悲しい。藤井聡氏の弁を借りると、「コレプションの塊だ」として政府を見ざるを得ないが、極めて冷徹で陰湿な発言に多くの国民は紛れもなく失望している。

「見殺し」は立派な犯罪である。
改正刑法草案(昭和49年5月29日法制審議会決定)の第12条に、不作為による作為犯として「不真正不作為犯」の規定がある。法文には以下の文言が表記されている。
罪となるべき事実の発生を防止する責任を負う者が、その発生を防止することができたにもかかわらず、ことさらにこれを防止しないことによつてその事実を発生させたときは、作為によつて罪となるべき事実を生ぜしめた者と同じである。

6月30日(水)、国会議員昨年度分の所得が公開された。
それによると、微減とのことだが、国会議員衆参合わせて702名。1人当たりの平均所得は2,416万円とのことだ・・・。

 


残念なことに、6月26日放送分の『朝まで生テレビ「激論!コロナ禍の国民生活と日本経済」』のYoutube動画をここに紹介したかったのだが、早速消去されてしまっていた。もしまた心ある誰かが動画を提供した場合に以下を参考に観ていただきたい。

27分10秒前後から問題の場面に入り、36分54秒辺りで「ロックダウンじゃないから補償はしない」との問題発言がある。それらを受けて、53分30秒以降の藤井聡氏の顔の表情がとてもいい。因みに私はもっと厳しい顔でパソコン画面を睨みつけている。
議論に参加しているNPOキッズドアの渡辺さんが切々と訴える「子供の貧困問題」(1時間57分35秒辺り)には胸が締め付けられた。直ちに、政府は迅速なる「プッシュ型の給付」をやるべきである。一刻の猶予もない。

※「朝まで生テレビ」の放送は金曜日の翌日未明(土曜日未明)の1:25 ~ 4:25迄の深夜放送だが、このような有意義な番組は是非ともゴールデンタイムに流していただきたい。


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