エッセイコーナー
372.令和元年ひとり農業始まる 『ふみくら3号』に向けて 2019年4月9日

いよいよ今年の米作りが始まった。
種まきを今週末に控え、苗箱の土入れ作業やハウス内の整地を終わらせた。
昨年までは父が担当していた苗箱土入れ作業だが、加齢による体力の衰えは如何ともし難い。
今年は全て私ひとりでこなさなければならない。
一粒のお米を作る為に多くの工程を経なければならない。「一粒百業」と云って、100の工程が必要だと云われている。兎にも角にも雑務が多いのである。
通常お米作りを連想する時に、田起こしや田植え、稲刈りなどを連想するのが一般的な見方だろうが、実はその工程自体は大した作業ではないのだ。勿論重要な作業であることは確かだが、現在は機械化されているのでそれほど手間暇を要するものではない。勿論、規模次第による。

問題はそれらの工程に進むまでの段取りに時間を要するのである。
例えば田植え前の準備として、まず、種まきをやらなければならない。その種まきをするには種籾を水に浸して発芽を促し、種籾を浸した水の交換も怠ってはいけない。
20日程浸した後に乾燥させる必要がある。種まき機で均等に蒔くためだ。
種まきが終わった苗箱を育苗機に移し、3日ほど30度前後の保温状態で発芽させ、それを今度はハウスに移動する。
水分の含んだ苗箱は結構重い。

ハウス内の温度調整に気を使いつつ、水の管理に気を使わなければならない。
そうこうしている間に今度は圃場(水田)の田起こし作業、肥料の散布、そして水を引き入れて荒掻き作業に取り掛かり、お田植えの3・4日前には代掻きをやり、圃場が落ち着いてからようやく田植えを迎えると云った一連の工程が必要なのだ。田植えが終われば終ったで畦畔の草刈り作業が待っている。

以上のように田植え(勿論その後も)をするまでには色んな作業が待っている。
兎にも角にもやることだらけなのである。
一昨年迄の秋の収穫期には、大半の圃場はコンバインによる作業を委託しており、飯米分とNet販売分の一部の圃場は、天日干しにこだわった天然乾燥米「元氣」の生産に労を厭わなかったが、昨秋より遂に全ての圃場を業務委託することにした。私自身の体力的な問題や老朽化による機械の問題やらで、今秋も天日干し米は断念せざるを得ないと思っている。
ただ、海外に留学していた息子が昨年帰国し、現在東京で働いている。その息子が「やっぱり天日干し米がいいな」などと云って手伝いにでも来ると云うのならば、考え改める必要があるのかもしれない。


フォト短歌「ささやき」  


『ふみくら3号』に向けて
東日本大震災から8回目を迎えた前日の平成31年3月10日、一関・文学の蔵元会長の及川和男先生が他界された。
一関・文学の蔵の組織運営や日本一小さな文学館として知られる「いちのせき文学の蔵」の開設、50冊を超えるご自身の著書や『ふみくら』創刊号及び2号の編纂など、及川先生の功績は枚挙に暇がない。

その及川先生の功績を称えようと、我々一関・文学の蔵の世話人7名が世嬉の一酒造に集い、追悼号としての『ふみくら3号』の編纂や「及川和男を偲ぶ会」の企画について話し合った。
具体的には5月26日の世話人会で決まる。

また、「いちのせき文学の蔵」がある世嬉の一酒造の土蔵の壁面など、耐震工事に伴う改修工事が無事に終了しており、見学できるのはもう間も無くと思われる。

『ふみくら創刊号』
『ふみくら2号』


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