エッセイコーナー
812.防災対策「複合災害への備え」  2023年5月16日

こどもの日の5月5日、石川県能登地方で震度6強の強い地震があった。
その翌日には青森県東部で震度4の地震。その5日後の11日には千葉県南部を震源とする震度5強の地震があり、同じ日の午後4時52分には北海道日高地方東部でも震度4の地震があった。
更には2日後の5月13日午後4時10分頃、鹿児島県沖で震度5弱の地震もあった。

東西南北、日本列島の各地で地震が頻発し、地殻変動が活発化しているようだ。
また、これから梅雨の季節を迎え、大雨にも警戒が必要である。
今から7年前の熊本地震では、梅雨前線豪雨との複合災害により、6名の尊い命を失ったことは記憶に新しい。
地震により地盤が緩み、大雨による大量の浸水や土砂崩れなどにより被害は深刻化する。
そんな大自然の脅威に怯え、ただただ耐えるばかりではいけない。
勿論大自然の猛威を全て封じ込めることは不可能だが、それなりの備えは必要だ。つまり防災インフラである。

当サイトでも過去に幾度となく取り上げたテーマだが、日本では残念ながら構造改革や財政健全化を優先するあまり、公共投資は消極的過ぎだと云わざるを得ない。
構造物の老朽化は顕著、経年劣化は避けられないのが現実である。
公共事業拡大により、構造物の老朽化を防ぎ、防災インフラの充実を図ることが人命尊重のキーポイントだと思うのだが、残念ながら日本は公共事業を削減し続けてきている。

今から22年程前、「聖域なき構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」と云った尤もらしいが誤ったスローガンを盾に、日本はデフレ化をひたひたと進めてきた。
また、2002年には「国債発行額を30兆円以下にする」と云った、本末転倒な財政政策により更にデフレ化が助長されてきた。
文春の先月号には大物元財務官僚と云われた老耄が、「財政黒字化は当然」「赤字国債は絶対に出すな」などを財務省の「財政規律の大原則」とする寄稿文が載っていた。『安倍晋三回顧録』への反論と思しき文面である。

財政法4条のもと、如何にも役人の本分を頑なに守る姿勢と受け止められる。
しかしながらそもそも、「財政黒字化は当然」と云うのは、通貨発行権や造幣権を持たない一般企業や我々民間人なら理解はできる。
しかしながら国が黒字化を目指すと云うことは、我々国民を赤字にすることであり、「苦しくなれ」いや「死ね」といってるようなものである。

実際、当時の緊縮財政の所為で、多くの人たちが将来への失望感や債務に追われるなどして自裁に追いやられてきた。
今から20年程前、現に、「聖域なき構造改革」等の所為で、知人の真面目で素直な青年が、失職の為途方に暮れ、自らの命を絶ってしまった。
そもそも、大物の元財務官僚が云う「財政規律の大原則」は、金本位制、固定相場制当時の産物であり、管理通貨制、変動相場制の今日には馴染まない発想であり、論理である。
財政観、貨幣観を正し、五公五民の現状を解消打破するとともに、公共事業を拡大し、防災インフラを徹底的に強化すべきではないだろうか。


フォト短歌「大地震」  
     
 
     
世界各国の公共事業の推移(1996年~2012年)  



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