エッセイコーナー
14.核廃棄物の脅威  2010年2月5日

今年で、終戦から65年目の夏を向えた。
その終戦の切っ掛けともなった、広島や長崎への原爆投下による嘗てない悲惨な状況をもたらした背景が、科学の進歩を、軍事目的などによる一部誤った方向に導いてしまった経緯があった。
今では、その過ちを正そうと、二酸化炭素を出さず、温暖化防止にも繋がり、しかも強力なエネルギーとして利用され、我々の生活に必要不可欠な電力の供給に、今では欠かす事の出来ない原子力発電なのだが、その威力も相当なものだ。

因みに、柏崎刈羽原発で毎日燃やされている原発の量は、広島に投下されたウラン型爆弾の約3倍とも言われている。
もっとも、その量を正確、しかも確実に制御することにより、安全を保証されるものだが、コントロールミスの可能性が、絶対に無いとはいえない。その失敗で悲惨な事態を招いたのがチェルノブイリ事故であった。
問題はそれ以外にもある。

廃棄物となった核のゴミの行方である。
廃棄物処理の一つの方法として、現時点では、地下埋設による処理が有力視されている。
しかしながら、地震多発国日本にとって、その安全性の保証が、確実のものであるとは思えない。
資源の乏しい日本は、核の再利用などを検討した中で、プルサーマル計画が採用され、青森県六ヶ所村に、その再処理工場が建設された。
そこで問題になっているのが、核廃棄物から化学操作によって死の灰を取り出し、ウランとプルトニウムに分離させる際に排出される有害物質クリプトンやトリジウム、炭素やヨウ素などが発生する。

その処理方法としては、煙突から空中に拡散させる方法と、海に流して希釈させる二つの方法がある。
しかしながらその量は莫大な量にのぼる。クリプトン+トリチウムの量などは、約33万兆ベクレルもあるといわれ、この数値は、柏崎刈羽原発のおよそ50倍にもなるとみられている。
一説によると、一年間に垂れ流されている量を致死量で計算するならば、約5万3千人分だとも言われている。
勿論、直接飲んだり吸ったりする訳ではないにしても、煙突から飛散した有害物質は、畑の野菜や水田の稲、果樹園のリンゴや桃などにもふりそそがれる。

一方、海に流されたものは海藻に吸収され、その汚染された海藻を餌にしたアワビやウニなどの魚介類も汚染され、やがては、それらを口にする我々人間も汚染される事になる。
現に、イギリスでは、セラフィールドの再処理施設から流れ出たプルトニウム汚染が、問題となった事件も記憶に新しい。我々岩手県民も、決して人ごとでは済まされない。山背などの気象状況によっては、煙突から空中にばら撒かれた有害な猛毒物質が、絶対に飛んでこないとも限らないのである。

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