エッセイコーナー
630.金山棚田 秋の風景  2021年10月11日

稲刈りやコメの検査が一段落し、金山棚田の稲刈り後の様子を見に行ってきた。
金山棚田は岩手県一関市舞川唐ノ子地内にあり、周囲を杉林に囲まれた約42アールの丘陵地に、50枚程の狭隘な稲田がひしめき合っている。開田は江戸時代末期。
所有者の金山考喜さんは今年で83才。後継者の長男は地元消防団の部長を務める真面目な人物だが、如何せん効率の悪い狭隘な棚田の稲作は困難と判断。作付を断念したが、その昔ながらの景観を守りたいとの思いから地元の若者らが立ち上がり、オーナー制を取り入れ、今また息を吹き返している。

収穫した稲は稲架掛けの天日干しによって自然乾燥され、旨味や甘みを増す。
私もつい3年程前迄は飯米分をこの天日干しに拘り、労を惜しまなかったが、如何せんあちらこちらにガタがきている。已む無く断念することになったが、ここ金山棚田では心ある有志らによって、ノスタルジックな風景はもとより、古来からの農法を受け継ぎ、守ろうとしている。
新自由主義による農政のあり方云々をここで問うつもりはないが、古き良き時代の失われつつある趣や精神を、後世に残し伝えようとする若者たちの気概を、この棚田に訪れる度ひしひしと感じ、感慨を深めるのである。


フォト短歌「金山棚田」  



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