エッセイコーナー
300.賢治ゆかりのあれこれ  2018年4月10日

右投げ左打ち、二刀流の快進撃が止まらない。
大谷翔平選手の活躍は実に素晴らしく、桁外れて凄まじい。
打席に立てば3試合連続本塁打。マウンドに立てば160キロ超のストレートと角度鋭い変化球でバッタバッタと三振の山を築いている。

快刀乱麻ならぬ「快投乱打」の大活躍。岩手の誇り、いや日本の誇りである。
ただ、あまり飛ばし過ぎると後が辛い。出だしは十ニ分の存在感を示したので、後はじっくりゆっくり肩の力を抜いて、兎にも角にも野球を楽しんでもらいたい。伸び伸びとプレーすることによって結果は自ずとついてくる筈。
あまり成績を気にし過ぎると自滅していく可能性大だ。
もっとも、大谷選手の謙虚な姿勢や先を読む冷静な態度をみると、取り越し苦労のような気もしないでもない。

大谷選手と云えば出身は岩手県奥州市だが、高校は花巻市松園町にある花巻東高校だ。つい4・5年前迄はその花巻市に通学していた訳だが、花巻と云えば誰もが知る「宮沢賢治」の生誕の地である。
賢治は生前、1924年に創刊した詩集『春と修羅』、童話短編集の『注文の多い料理店』を初め、『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など、風景や叙情豊かな描写に加え、空想的理想論の追求とでも云おうか、その心象風景を通し、博愛主義に伴う「命」に対する深い敬愛を表現する言の葉作品を世に出し、人の心を和ませ、感動をよんでいる。

その賢治を研究する2人の知人の著書を紹介したい。
賢治の研究家であり、岩手県歌人クラブ副会長を務め、短歌結社「手」の会代表の佐藤怡當(さとういあつ)先生が、この度、ご家族4名によるアンソロジー、詩文集「大河の岸の大木」を刊行した。
私が所属する短歌同好会の歌会にも度々出席され、ご教示、ご指導を仰いでいる。

書巻の帯文には、
❝話題の家族詩集『お星さまが暑いから』から37年/伝説の詩人一家は4名それぞれの詩の心を育んで/岩手北上・盛岡発、生きることの大河の岸の大木へ/放たれた珠玉の詩とエッセイ・評論/活躍中の個性の輝きはもはや家族本を超えている❞ とある。
一読の価値大いにあり。

もう一人は、
賢治の研究家として決して忘れてはならないのが、佐藤竜一氏(国立岩手大学特任准教授)である。
その彼の著書『宮沢賢治 出会いの宇宙 -宮沢賢治が出会い、心を通わせた16人-』(コールサック社)が、毎日新聞4月6日の朝刊で紹介された。

以下、佐藤竜一氏のFacebookより抜粋
❝宮沢賢治が亡くなってから有名になった背景には、生前に多くの出会いに恵まれたことがある。
16人は、賢治の才能にいち早く気付き、作品を広く伝えた草野心平(1903~88年)をはじめ、北上川で見つけた化石の鑑定を依頼された鳥羽源蔵(1872~1946年)や、草野の詩誌が縁で賢治とつながった黄瀛(1906~2005年)ら。著作では、賢治が仕事や詩作、友人などを通じて知り合った人物の姿と、交流が与えた影響を解説している❞

賢治の人間関係を紐解くことによって、奥行きのある心象風景を描く賢治作品の真髄に、少しでも触れることができるのではないだろうか。これもまた一読の価値大いにあり。

因みに6月17日(日)午前11時より、盛岡市大通1丁目の岩手県産業会館(サンビル)7階大ホールを会場とする「第三回文学フリマ岩手」に、佐藤竜一氏と私が出店することになっている。
竜一氏の著書『宮沢賢治 出会いの宇宙 -宮沢賢治が出会い、心を通わせた16人-』も出品することになっている。
他に、一関・文学の蔵の「ふみくら」創刊号や、私のフォト短歌エッセイ集シリーズも出品する予定である。

第三回文学フリマ岩手
日  時:2018年6月17日(日)11:00~16:00予定
場  所:岩手県盛岡市大通1丁目2−1 岩手県産業会館(サンビル)7F大ホール
アクセス:東北本線 盛岡駅より 徒歩 約15分。
     バス 約7分(駅前バスのりば16番より盛岡都心循環バス『でんでんむし』左回り乗車「盛岡城跡公園」
     下車すぐ)


フォト短歌「うぐいす」 佐藤竜一


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