エッセイコーナー
839.君が代  2023年7月29日

古今和歌集に、国の安寧を願う詠人知らずの一首がある。
「君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」
ご周知の我が国の国歌であり、未来永劫、平和と繁栄を祈念する意味も持つ三十一文字である。
然しながら、ナショナリズムを喚起、想起させるのではないかとして、一部の団体や人たちから懸念の声が聞こえ、右だの左だのと不毛な議論が未だに交わされている。
確かに、過剰なナショナリズムは危険であることは否めない。その延長線上に、「戦争」と云う悪しき二文字が見え隠れしているのも事実である。

今年5月、大分市のとある中学校で広報委員の生徒ら3人が昼食時間の放送の折、時間の調整を計ってか国歌「君が代」を流したそうだ。
ところがそれを聴いた教員の一人が放送室に駆けより、「ふさわしくない」と指導したそうである。そのことによって一人の生徒が体調を崩し、早退したとのこと。
確かに、過剰なナショナリズムの栽植はむべもない。また、昼食時間に流れる曲としては一般的に相応しいとは思えないが、だからと云って厳重な注意は必要なのだろうか。

「君が代」について色んな歴史的背景があったことは否めないが、然しながら「君が代」は、日本人として誇れる国歌だと私は心底から思っている。
如何に科学技術が進歩し、グローバル化が進んだとしても、日本人として、日本の心とも云うべき平和と調和を尊重し、「和の心」や「義の念」を絶対に忘れてはいけないのではないだろうか。
そんな思いを込めて、昨日、法灯会に奉納する為、天台宗別格本山毛越寺を訪れた。
今年も3張りの灯籠に、「安穏無事」「王道楽土」「帰馬放牛」と、皆同じような内容だが、戦争のない平和で安寧な社会を祈念し、紙灯籠に揮毫させていただいたのだった。


君が代 法灯会2023 松尾芭蕉の句碑
    松尾芭蕉の句碑(向かって左側が真筆の句碑)
    夏草や 兵どもが 夢の跡
     


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