エッセイコーナー
811.漫筆「五万円札と十万円札」  2023年5月13日

来年(2024)の上半期に、新紙幣が発行されるとのこと。
一万円札は渋沢栄一、五千円札は津田梅子、千円札には北里柴三郎の肖像画が採用されるそうだ。
ところで、二千円札は一体どうなったのだろうか。暫く使ってもいないし見てもいないが、やはり不評だったと云うことだろうか。
しかしながら一部の地域、特に沖縄県内では普通に使用されているとのこと。
二千円札紙幣の表面には首里城の守礼門が描かれていることから、それも頷けよう。

2024年度の新紙幣製造予定枚数は、合わせて30億3千万枚だそうだが、市中銀行に預金している分や、入金などで集まった分が都度、新旧入れ替わることになる。
ただ、考えようによっては、仮に旧札はそのままに、新札のみが市中に出回るとして、例えば30億3千万枚のうち、30億枚分が一万円札だとすると、30兆円分が市中に出回ることになる。
この30兆円分が今迄のように一部の企業や富裕層にのみ吸収されるのではなく、国民全体に行き渡るとなればかなりの経済効果を生むのではないか、と、ふと思った次第だ。

しかしながら日本の人口約1億2千万人分で単純に割ると、一人当たりたったの25円である。
25円増えたところで到底消費の喚起には結びつかない。
では幾らぐらいだったら消費意欲が掻き立てられるのだろうか。
私が思うに、25万円以上、つまり25円の1万倍以上であれば、消費意欲が喚起されるのではないかと思うのである。
と云うことは、新札(旧札でも良い)の一万円札を30兆枚分をバランス良く配ることによって、間違いなく景気は回復するのではないかと考えられる。

そうなれば間違いなく消費意欲は喚起され、それに伴って供給力も上がり、需給のバランスが保たれながら更なる景気の好循環が生まれる筈。
たとえ一時的に預金に回ったとしても、いずれ必ずや消費に回され、流通する。
単なるバラマキと揶揄されそうだが、このぐらい大胆な財政政策をとらない限り、日本は財政政策の失策による30年来苦しんできたデフレ状態から脱出できないのではないだろうか。

金本位制や固定相場制当時の財政観、及び貨幣観を正し、管理通貨性、変動相場制の認識に改めない限り、理解が深まることは期待できない。
日本は金本位制から管理通貨制に変わり、既に80年以上も経っている。
一般の民間企業や我々個人には通貨発行権、貨幣鋳造権(造幣権)等は無いが、国にはある。
とは云え、貨幣の過剰な乱発は過度なインフレを招く恐れもあり、懸念の声が上がるのも事実だ。しかしながら、過度なインフレに対しては先ず最初に金利操作を行い、GDPの動向を精査しながら税率、税制面を見直すなどにより、調整は可能であると思う。

過大な権力を乱用する一部の官庁による行政主権が跋扈する今日、憲法に定められた国民主権、主権を国民に戻す為にも、国民一人一人が財政観及び貨幣観を正すことが先ず以て先決であると私は思う。
そのことを踏まえた上で、前述した大胆な積極財政に伴い、紙幣の最高額を一万円札のみならず、五万円札や十万円札を新たに作ってみてはいかがだろうか。

十万円札2枚と五万円札1枚を全国民一人ひとりに、バラマキではなく分配することによって、デマンドプル型のインフレ率2%が実現出来るのではないだろうか。
江戸時代のひと頃の様な、五公五民状態に喘ぐ現状を打破する為にも、一刻も早く財政観及び貨幣観を正していただき、景気の好循環を齎す為の起爆剤となる国の積極財政は必要不可欠だと思う。
「何なに一揆」が起こらない為にも・・・。


 


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