エッセイコーナー
759.磐井清水若水送りと道路の有り難さ  2022年12月11日

岩手県南に、元旦恒例の「磐井清水若水送り」と云う行事がある。
一関市東山町松川から、平泉の中尊寺迄約20kmの道のりを徒歩で湧き水を運ぶ行事である。
今から800年あまり前の平安後期、奥州平泉を拠点に100年の安寧を目指し、栄華を誇った藤原4代の3代目当主、北方の王者藤原秀衡公の命によって始まったとされている。
故事によると、松川の里人によって運ばれる若水は、「磐井清水」から奈良坂峠を越え、平泉の柳之御所まで手渡しで運んだと伝えられている。

昨年は新型コロナの影響によって中止となり、今年は参加者を減らし、バス移動によって執り行われた。
オミクロンの影響もあることから、2023年の元旦も30人程度で行われるとのことである。
移動方法も今年同様バスでの移動。
ルートも同じ、東山から狭山トンネルを抜け、舞川の菅原神社前を通って長島を抜け、中尊寺迄運ぶとのこと。
現在の道路は全面舗装により快適に移動出来るが、平安時代は悪路、しかも急峻な峠越えもあり、かなり大変だったに違いない。

「ポツンと一軒家」のテレビ番組で、一軒家に辿り着くまでの道路が、如何にも狭さ、厳しさを強調するかのような演出、構成で進められるが、日本は遥かに良い方だ。
インフラ整備の重要性、公共事業の大切さをしみじみと感じる。
世界にはとんでもない道がある。徒歩は兎も角、ほんのちょっとハンドル操作を誤れば間違いなく彼の世行き。
断崖絶壁の危険な道路や、濁流に呑み込まれれば「万事休す」の河川横断道路などなど。
日本は本当に恵まれていると思い知ることができる。


フォト短歌「閑雅の小径」  


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